米国・ラスベガスで1月7日から10日まで開催された「CES(コンシューマー・エレクトロニクスショー)2020」。50年の歴史があるCESは、家電ショーからテクノロジーとイノベーションのイベントへと変化している。電通の森直樹氏が広告会社のクリエーティブディレクターの視点から見たCESのレポートを紹介する。
イノベーションに取り組むP&G CESを通して消費者から着想
昨年の本格的な参加に続き、今年もP&Gはプレスカンファレンスや複数のセッションに登壇したほか、大掛かりな出展を実施。また、他に目立っていたのはデルタ航空だと感じた。P&Gもデルタ航空も、テクノロジーによるイノベーションへの取り組み、顧客体験への革新について、多くの事例や実績を通じて発信した。
私が非常に感心したのは、これらの企業の発信が、製品やサービスを通じた顧客体験とテクノロジーを堅実につなげていること。顧客体験の変革に真摯に取り組む姿が見てとれ、企業の今後の姿・ビジョンがストーリーを持って語られることで、企業ブランドの価値向上にも大きく貢献していると感じた。両社はCESという場を通して、CESの文脈で企業価値、企業ブランドを高めたのだろう。
P&GのChief Design Officer Phil Duncan氏はCESを通して、P&Gが消費者から最先端のイノベーションの着想を得ていることを説明。Oral-B(電動歯ブラシ)やホームケア商品、ファミリーケアビジネスなどによる同社のイノベーションが、顧客体験を刷新していることを共有したいと話した。
またP&Gが提唱するDisruption(破壊的革新)の新しい定義であるConstructive Disruption(建設的な破壊的革新)を、P&Gが巻き起こし、優れた消費者体験を創造していることについて語った。同氏は、「Constructive Disruptionにより優れた顧客体験を生み出し、テクノロジーと人間の両方の視点を融合することで、イノベーションにつながる洞察力を見出す」という。
さらに同社は昨年に続き、CESを"Consumer Experience Show"と解釈。「我々の事業の全ては消費者で始まり消費者で終わる」という自身の立場を明確にした。P&G Baby and Feminine CareのFama Francisco氏はCESについて「CESは、P&Gブランドが最先端のテクノロジーで、いかに顧客体験を改革できるかを示すプラットフォーム」だと語る …