米国・ラスベガスで1月7日から10日まで開催された「CES(コンシューマー・エレクトロニクスショー)2020」。50年の歴史があるCESは、家電ショーからテクノロジーとイノベーションのイベントへと変化している。電通の森直樹氏が広告会社のクリエーティブディレクターの視点から見たCESのレポートを紹介する。

CES2020は、Samsung Electronics President and CEO of Consumer Electronics DivisionのHyun-Suk Kim氏の基調講演で幕が開けた。Samsungは人間中心に立脚し、次の10年に新しい体験価値を提供すると宣言した。
Samusungは価値としての"体験"を重視
2020年のCESで最初の基調講演を行ったSamsungと、LGのプレスカンファレンスでは、AIや新興技術の導入に貪欲な両社の取り組みが紹介された。しかし両社が共通して、最も訴求していたのは、AIや5G、そのほかの進行技術ではない。人間を中心とする考え方、そして"体験"についてであった。
その主張とは、地球そして地域が抱える問題や人々の価値について洞察したうえで提供するプロダクトやサービス・技術は、"体験"が主要な価値であるというもの。
そして、その背後にあるのがストーリーだ。テクノロジーを採用し、実際にプロダクトに至るまでのストーリーづくりが洗練されていた。このような優れたストーリーテリングが、彼らのプロダクトの価値、イノベーションを起こしている企業だというブランド価値を決定づけているように感じる。
Samsung Electronics CEOのHyun-Suk Kim氏は、「新しい価値のある体験をつくっていく …