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パーパスが企業と消費者をつなぐ 言葉とデザインを生かすブランド戦略

ライトパブリシティ

昨今、パーパスという言葉が注目されるが、熱狂的なファンを擁するブランドは、どのような思想を持ち、また思想をどう発信しているのか。2社の先進企業の事例をもとに、今日的なブランド戦略の在り方が議論されたセミナーの様子をレポートする。

社員がビジョンに共鳴することでブランドが形づくられていく

コモディティ化時代のマーケティングにおける差別化戦略として、ブランディングの重要性はますます高まってきている。セミナー前半に中川政七商店の緒方恵氏とともにパネリストとして登壇した、ライトパブリシティの朝倉道宏氏は「これまでは広告クリエイティブの仕事が多かったが、最近はブランディング領域まで踏み込んだ相談が増えている」と話し、自社ならではの価値の発見から始まる、コンサルティング寄りの期待の高まりについて言及した。

一方の中川政七商店は、300年続く高級綿麻織物の老舗メーカーでありながらSPA事業に転換し、現在は全国に58店舗を構えるまでに成長を遂げている。緒方氏は「事業が成長する過程ではブランディング戦略が不可欠だった」と話す。

同社では「日本の工芸を元気にする!」という会社としてのビジョンを掲げており、これがブランディングの核になっている。明確なビジョンがあるからこそ、そこに共鳴した従業員が集まり、さらには熱狂的なファンも生み出しているのだ。

朝倉氏が、「ブランドパーパス的なメッセージを従業員に広めるのは簡単ではないが、どのようにしているのか」と問うと、「何よりも言い続けることが大事」と緒方氏。「一つひとつの仕事がどのように自社のパーパスに紐づくのかを全て説明することで、浸透させている」と続けた。

セミナー後半はライトパブリシティの栗本知樹氏と、プロダクトブランディングに強みを持つヤッホーブルーイングの稲垣聡氏が登壇。

ヤッホーブルーイングのユニークなパッケージデザインに衝撃を受けたという栗本氏は、デザイン開発の意図を稲垣氏に質問した。

ヤッホーブルーイングでは、ブランドごとに個別の戦略を立てており、それぞれのビールに印象の異なるパッケージデザインを採用。これは大手ビールメーカーと売り場のフェイスを取り合う中で、1フェイスでも目立ち、かつクラフトビールが今までのビールと異なることが一見して分かることを狙っている。

また複数の候補からパッケージザインを決定する際には、好き嫌いがはっきりと分かれながらも好きだと回答した人からは深い共感が得られているデザインを選ぶようにしているという。この選択の視座が、ファンの心に深く刺さるデザインになるのだと稲垣氏は話した。

ヤッホーブルーイングでは「ビールに味を!人生に幸せを!」というビジョンを掲げている。日本に多様な味わいを持ったクラフトビールを浸透させようとしてきた同社にとって、あえて「万人受けは狙わない」姿勢がブランドの"らしさを"つくっているといえそうだ。

ライトパブリシティ
常務取締役執行役員
プロデューサー/クリエイティブディレクター
朝倉道宏氏

中川政七商店
取締役
コミュニケーション本部 本部長
緒方恵氏

ライトパブリシティ
部長統括役
クリエイティブディレクター
栗本知樹氏

ヤッホーブルーイング
マーケティングディレクター
稲垣聡氏

    お問い合わせ

    株式会社ライトパブリシティ
    URL:http://www.lightpublicity.co.jp/
    E-mail:contact@lightpublicity.co.jp(担当:栗本)
    TEL:03-3248-3334(代表)

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