朝日広告社は12月、「パーパスドリブンなコミュニケーションでステークホルダーとのつながりを深める! マーケターのためのブランドコミュニケーションセミナー」を開催した。日本でも浸透し始めてきている「パーパス」という概念を切り口に、ブランド価値をどう伝えるか、実践企業が登壇し事例を紹介した。

(写真左から)野村総合研究所 伊吹英子氏、同社 古西幸登氏、ユニリーバ・ジャパン 河田瑶子氏、朝日広告社 橋本和人氏。
企業への期待の高まりを受けいま注目される"パーパス"
第1部ではパネルディスカッションが行われた。登壇したのはユニリーバ・ジャパンの河田瑶子氏、野村総合研究所の伊吹英子氏と古西幸登氏で、モデレーターは朝日広告社の橋本和人氏が務めた。
伊吹氏はパーパスに注目が集まっている理由として、①企業に対するSDGsなどの期待の高まり、②ミレニアル世代の台頭、という2点を挙げ「ミレニアル世代は、その組織の社会に対する姿勢を重視している。だからこそ、従業員や社外の関係者を巻き込む求心力をつくるうえで、明確なパーパスが必要とされている」と説明。
さらに河田氏は、そのパーパスを実現するためにブランドが消費者に何を伝え、どのようにアクションを起こすかを明確にしなければならないとし、それが実践できれば、ブランド・エクイティの形成や最終的な売上につなげることができると述べた。
第2部では朝日広告社の佐々木良之氏、西牧喜紀氏が登壇。パーパスをブランドコミュニケーションに落とし込む際のポイントとして、①スモールスタート、②目的を明確に設定、③明確に設定した目的に対してどのように評価していくか事前に決める、の3点を挙げ、「特にクライアントとの間で事前に、どのような方法で評価するかの認識をすり合わせておくことが重要。この3つを守りながら進めていくとプロジェクトはうまくいくのではないか」と述べた。
第3部ではカネボウ化粧品の中根志功氏と朝日広告社の平川慶一氏が登壇。CRMの事例として、カネボウ化粧品のアプリ「スマイルコネクト」を活用した、購入後フォローを含めた「顧客との対話」や「顧客視点で生み出すコミュニケーション文脈」についての取り組みが紹介された。
化粧品市場においては、様々な接点で獲得したCRMデータを統合して、顧客と来店前後に効果的なコミュニケーションを取ることで、「いつもの商品を安心して、より便利に買っていただくこと」が大切だ。そのために中根氏は、「顧客理解と顧客接点の改善が重要になる」と語った。
また2020年1月から、美ではなく希望を語るブランドを目指して「I HOPE.」を新たなタグラインに、全社挙げてのリブランディングを実施しているカネボウ化粧品。リブランディングに際し、会社やブランドの歴史を振り返ることで一貫して変わらないDNAを発掘し、未来に向けてパーパスを定義した。
この例から中根氏と平川氏は、「パーパスブランディング」は、新規顧客にも既存顧客にも定期的にブランドを思い出してもらう"リマインド効果"の高いコミュニケーションが期待できるという意見で一致。続けて、「お客さまだけでなく社内全体が同じ方向性を向いて行動することを促すことができるのがパーパスブランディングだ」と全体を総括し、セミナーを終えた。
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