企業がコミュニティを対象にマーケティング施策を実施する場合、大きく2つの種類に分けられることが分かった。ここでは昨今の各社のキャンペーン事例をもとに、各社の戦略を分析していく。
リアル・デジタル問わず広がる特定の関心・嗜好性を持つ集団
最近、マーケティングの現場でよく聞かれるようになった「コミュニティ」という言葉。その意味を紐解いてみると、「①人々が共同体意識を持って共同生活を営む一定の地域、およびその人々の集団。地域社会。共同体。②転じて、インターネット上で、共通の関心をもちメッセージのやりとりを行う人々の集まり(三省堂 大辞林 第三版)」という解釈が出てくる。
従来は地域、つまりはリアルな生活空間に依拠する集団を指す言葉だったのが、デジタル空間の拡大により、リアル・デジタル問わず、同じような嗜好性・関心を持った人たちの集団、という意味で使われるケースが増えているのだ。
特にSNSの浸透は同じ嗜好性・関心を持った人たちが、物理的な距離を超えて、集まりやすい環境をつくりだしている。こうした背景があって、マーケティング戦略において、コミュニティを無視できなくなる状況が生み出されているといえそうだ。
今回の取材を通じて、コミュニティを対象にしたマーケティングという場合、大きくは「自社の顧客(ファン)コミュニティ」対象、「自社外の特定の嗜好性を持ったコミュニティ」対象の2パターンがあることが見えてきた。また前者は、顧客のロイヤルティを高めることを目的に、後者はこれまでにない新規顧客開拓の手段を目的に実施されていることが多かった。
自社と親和性のある外部コミュニティ活用の事例
ここからは最近の事例を見ていきたい。まずは、電気を産地で選べる「顔の見える電力」など電力小売サービスを行う、みんな電力の事例だ。同社では、円谷プロダクションのウルトラマンシリーズに登場するかいじゅうとコラボ。"地球環境にやさしい、そしてかいじゅうにもやさしい"をコンセプトにした新しい電力プラン「かいじゅうのでんき」を展開した …