最近、女性を描いた広告の炎上が絶えません。そうした事象の背景にはどのような問題が潜んでいるのでしょうか。ジェンダー問題に詳しいジャーナリストの治部れんげ氏に話を聞きました。
イメージが確立されている大企業だからこそのリスク
女性や家庭・子育てを描写した広告で、女性から批判の声が上がり、炎上するケースが増えている。時代の変遷とともに、女性は男性と同じように働くようになり、共働き家庭が増え、母親だけでなく父親が育児休暇をとるようになるなど、女性のあり方だけでなく、女性の働き方・家庭の在り方も変化を遂げている。
ジェンダー問題に詳しいジャーナリストの治部れんげ氏は、炎上には2つのパターンがあると話す。ひとつは、社会問題に対する問題提起やメッセージ発信などを目的に、今までの実態と異なる新しいことをする場合。これは広告制作側も社会を先取りした提案と認識しているため、反発意見が出てきたり、議論を生んだりすることを理解したうえで広告表現を世に出している。
もうひとつは、時代の潮流や世間の動きを把握できていないために、反発意見を予想することができず、意図しない形で、世間から反発意見を浴びる場合だ。
治部氏は「前者は反発意見を予想したうえで提言やメッセージを発信しているので反発意見が出るのは織り込み済みかと思います。このような広告を出稿する場合は、リスクも把握できていると思います。一方で後者は反発意見が存在するかもしれないということを予想できていない、つまりは社会を読み違えているという点で、単なる失敗だと言えます」と語る。
その上で、「社会で何が問題となっているか、何がどういうことで誰が傷つけられているかを知らない人は発信するべきでないのではないか」とも述べた …