クリエイターの視点から、サスティナブルとダイバーシティの共存を実現するデザインのヒントを北欧デンマークから全6回の連載でお届けします。

見事に男女の色分けがなされていなかったトイレのサイン(ロンドン、パリ、レイキャビク、コペンハーゲン)。
男性も女性もピンクのサイン トイレを性差で色分けしない理由
前号に続き、今回も欧州の各都市における公共の場のデザインで、私が気になったものを紹介しながら話を進めていきます。
今回は、ビジュアル化された「サインや標識」に焦点を当てます。サインや標識は見た人が、迷いや混乱を起こさないよう、瞬時に理解できることが求められます。機能性が重視されるデザインなので、ややもすると無機質になりがちなのですが、欧州の各都市では理解さえできれば、多少は遊んでもよいといった柔軟性のある考えをもったサインや標識が目につきました。ルールや固定概念にとらわれないことで、新たな価値が見えた例を、いくつか挙げていきます。
写真①は、障がい者が利用できる施設や設備を表す国際シンボルマークです。見慣れたこのマークですが、やや静的なイメージが強いのではないでしょうか。写真②はのちに、そのイメージを払拭するために、アクティブでポジティブなマークにリデザインされたもの。いずれの基準表示にもとらわれない、さりげなく、障がい者のごく自然な動きを感じさせるマークが目にとまりました …
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