- イベントの強みは、"広く"伝えることよりも"深いブランド体験"を提供できること。
- イベントは、ともにブランドをつくっていくファンを獲得することができる。
- SNSやメディアを通じて拡散することでブランドの思想を広く伝達できる可能性がある。
イベント施策における、3つの価値
いま、私たちは空前のリアルイベントブームの中にいる
はじめまして。体験デザインプロダクションTOWの井上です。当社はリアルイベントを中心に、デジタルや映像など様々な手法を統合的に組み合わせて、最適なブランド体験を生み出す、人々がココロやカラダを動かすようなコミュニケーション設計を目指しています。日々、現場でリアルイベントの企画から実施までをお手伝いさせていただいている立場から、考えていることをお話ししたいと思います。
ライブ、フェス、スポーツイベント、アートイベント、モーターショー、ゲームショー、イルミネーション、ポップアップショップ…。ブランドのコミュニケーションの一環として行われるもの、そうでないもの含めて、私たちの日常は、たくさんのリアルイベントに溢れています。
特にミレニアル世代は、リアルイベントが大好き。イベントに参加していることをリアルタイムに発信したり、行ったその日に投稿したり。それを見たフォロワーは、「私も行きたい!行かなくちゃ!」と、いわゆるFOMO(=the Fear Of Missing Out)の気分が駆り立てられ、その連鎖が次々に起こっていきます。けれども、この現象はミレニアルズだけに限ったことではありません。
実際、「2018年 日本の広告費」(電通)によると、イベント関連市場(展示・映像ほか)は、3585億円と推計されており、前年比105.8%の成長市場であると示されています。様々な広告手法がある中で、なぜ今、リアルイベントが注目されているのでしょうか。
私たちはすでに多くのモノを持っているために、ある程度満足してしまっていて、言わば"欲しいものが思いつかない"状態です。モノをそんなに増やしたくない人も多いのではないでしょうか。モノ消費からコト消費へ、そして仲間と時間を共有するトキ消費へ。この潮流の変化が、リアルイベントの成長を後押ししているのではないかと思います。
そんな注目手法と言えるリアルイベントは、広告コミュニケーションの中で、どのような機能を発揮できるのでしょうか。
広告コミュニケーションにおけるリアルイベントの価値
①"深いブランド体験"の提供
リアルイベントが最も得意とするところは、「深い体験を提供すること」にあります。
たまに「リアルイベントは費用対効果が悪い」という言葉を耳にします。実際にマスコミュニケーションが得意とする、多くの人に情報を届ける=「広さ」を目的とする場合、リアルイベントは不向きです。リアルイベントで直接的にコミュニケーションできる相手は、規模感が少なければ数十人。多くても数万人です。
けれども、直接会った人へインプットできる情報量は、他の手法に比べ圧倒的に多く、「深い」コミュニケーションを取れることがリアルイベントの強みです。
また実際に飲んだり、食べたり、使ってみたり、試してみないとどうしても良さが伝わらない商品であれば、文字での説明では伝わりきらなかった感覚まで伝えることができます。実際に体験させることができるのは、リアルイベントだからできることです。
ほかにブランドの世界観へ没入させることができるのもリアルイベントの特徴です。商品を体験いただく場所を、見た目はもちろん、香りや音楽までも「ブランドらしく」設計します。ブランドのかわいらしさ・格好良さに入り込み、感動しながら体験したら、好きになる確率はグンとあがります。この考え方は、展示会やショールーム、店舗設計などでよく用いられます。
最近は、ただ商品を紹介するだけではなく、商品との出会い方をユニークにアレンジしている例も多く見られます。自分だけのオリジナルの商品を、その場でカスタマイズしてつくることができる。いくつかの質問に答えると私にぴったりの商品を紹介してくれる。商品との出会いに「体験」を組み合わせると、より印象に残りやすいのではないでしょうか。
②ブランドをつくる"チーム"の獲得
リアルイベントは、商品やその世界観を伝えるだけではありません。リアルイベントを通してぜひ伝えていただきたいのは、モノの奥にあることです。このブランドは社会や生活者に対して何を提供しようとしているのか、どんな未来を描いているのか、どんなライフスタイルを提案するのか…。そんなブランドの思想までも丁寧に伝えることができます。
例えば、商品開発をしている方がお客さまに直接、開発中に起こったエピソードを伝える場面をつくることもできます …