ディスラプターやスタートアップ、さらに世界のメガブランドまでが実践する「パーパス・ブランディング」。なぜ今、世界中から注目されているのか。そして、その正体、仕組みとは何なのか。パーパスの力を生かし、ブランドをエレベートするための知見を全6回で解説する。
海外市場で躍進 世界で支持される「Konmari」
「Spark Joy」(ときめく)という表現を聞いたことがあるだろうか?この言葉を聞いて、すぐに片づけコンサルタントの近藤麻理恵氏(こんまり)が、頭に浮かぶのは、もはや日本人に限った話ではない。世界中で同様に知られ、さらに英語圏の国々では「Konmari」(もしくは苗字の「Kondo」)を、モノを断捨離する様子になぞらえて「処分」という意味の動詞に使われるほど、彼女のメソッドは全世界に浸透している。
こんまりは今から4年前に米国で「KonMari Media,Inc.」を設立。その後、自身のブランドをグローバルで通用するまでに成長させた。昨年までに、世界最大のベンチャーキャピタルである米国のSequoia Capitalを中心に、数億円の資金調達を行い、今年8月には楽天がKonMari Mediaの株式の過半数を獲得。楽天とのパートナーシップ契約を締結した。
実は、彼女の活躍の背景もパーパスから読み解くことができる。今回は海外市場におけるパーパス・ブランディングのプロセスも交えて、「KonMari」ムーブメントを解説していきたいと思う。
パーパス・ブランディング 3つのステップ
最初にパーパス・ブランディングのプロセスについて説明しよう。パーパス・ブランディングは大きく分けて、3つのステップから構成される。それは(1)パーパスの発見と表現、(2)コンセプトの開発、(3)戦略の策定の3つだ。
(1)パーパスの発見と表現
すでに明確なパーパスがある組織は別として、そうでない場合には、パーパス発見のための綿密な情報収集から始めることになる。創業者、あるいは経営陣に対してインタビューを行い、ブランドの原点と歴史、現在の状況、さらには目指す姿を探っていく。次に組織外からどう見られているのかを知るために、定量と定性の2種類の消費者調査を行う。さらに有識者にヒアリングをし、自組織についての客観的な視点を得ていく。
これらの情報収集から得た知見を基に、自社ブランドの強みと情熱が、顧客のニーズと欲求に重なり合う部分を見つけ、重要なテーマを抽出。それをパーパスとして言葉で表現していく …