データ利用は企業の論理から個人の意思が尊重される時代に
企業によるパーソナルデータの収集・分析・活用が活発になる中で、自分のデータが、どの企業にどのように使われているのかがわからず、不信感を抱く人も出てきている。
このような状況を改善したいとの志のもと、設立されたのがDataSignだ。代表取締役の太田祐一氏は「当社は企業のデータ取得・活用の透明性を確保し、生活者が自らのデータを活用できる世界の実現を目指している。グローバルで見ても、Facebookのケンブリッジアナリティカ事件(2016年)に注目が集まり、一方のヨーロッパではGDPRの施行(2018年)があり、個人データの利用に関して、個人の意思を重視しようという流れが強まってきている」と話す。
では、国内における企業の意識や実態はどうなっているのか。同社では日本経済新聞社と合同で主要100社に対し、各社のWebサイトにおけるデータ共有に関する調査を実施。その結果は今年の2月26日付の日本経済新聞の一面トップに掲載された。
紙面に掲載された「情報共有先を5割の企業が明示せず」という調査結果はインパクトが強く、個人のデータを企業の論理だけで使われることに対する不信感を抱く人も。企業としても対応が必要なフェーズになりつつある。
DataSignの創業は2016年。もともとはプライベートDMP構築支援の事業を行っていたという太田氏だが、多くの会社にDMPを導入しているうちに2つの課題に直面することになる。
「ひとつは、DMPは自社保有のデータしか使えず、広告配信におけるターゲティング精度の向上くらいにしか使えていなかったということ。本来は広告配信だけでなく、一人ひとりのユーザーに、より適したリコメンドができるはずという思いがあった。もうひとつが、各社がデータを囲い込もうとするあまり、個人がないがしろにされているという事実。自分の行動の履歴がいつの間にかデータとして取得されているのに、それを把握できている人は、ほぼいない。個人が自分のデータをコントロールし、自分で納得した形でデータを使えるような仕組みが必要なのではないか、と考えるようになった」 …