日本の外食産業の環境改善を目的に、飲食店向け顧客・予約台帳サービスアプリを開発・提供する「トレタ」。その設立者であり、外資系広告会社での勤務経験を持つ中村仁氏が10月、本書を刊行。外食業界における経験から、業界内部に巣くう悪習を鋭く批判するとともに、業界関係者らへ多くの助言を込めた1冊となった。
冒頭、「日本の外食産業では、50年に一度の『パラダイム・シフト』が起きています」と警告する著者。いわゆる「IT化の波」だ。集客や会計など、これまで人を介していた飲食店業務のほとんどが、グルメサイトや電子決済などに代替されるようになった。
しかし、「日本の外食産業はIT活用の進みが他業界と比べて遅い」と指摘。背景には、「機械に頼るなんて邪道だ」などの言葉に代表される業界特有の「歪んだ美学」が、いまも業界に巣くっているからだと推測する。しかし、業界の労働環境改善のためにも、業界経営者に対し、意識改革を強く勧める。
一方でIT化が「目標」になってもいけないと釘を刺す著者。「テクノロジーは手段にすぎません。『合理化』ではなく『高度化』が最終的な目的であるべきです」。つまり、ITを活用した「顧客の体験価値の向上」こそが目指すべき真の目標であるべきだと考えているのだ …
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