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「言葉」のコミュニケーションを考える

意味という、捉えがたいもの

川添 愛氏

広告・コミュニケーションに欠かせない「言葉」。しかし、私たちは人が言葉を理解するメカニズムをどれほど理解できているだろうか。言語学者の川添愛氏が、「言葉」のコミュニケーションを全6回で解説する。

この連載の初回に「言葉が分かるとはどういうことかという問いには明確な答えが出ていない」とお話ししました。その大きな要因のひとつに、言葉の意味とは何かがまだ分かっていない、ということがあります。

こんなことを言うと、「意味は辞書に書いてあるじゃないか」と言われることがあります。「辞書さえ覚えさせれば、コンピュータにも言葉の意味が分かるはずだ」と思っている方も多いようです。しかし、辞書に書かれているのは「言い換え」や「説明」であり、意味と呼ぶには不十分なものです。

たとえば「理由」という言葉を辞書で引くと、「物事がそのようになった根拠」のように書かれていることがあります。これを理解するには「根拠」の意味が分からなくてはなりませんが、「根拠」を辞書で引くと「物事が存在する理由」のように書かれていたりします。もし、このような辞書の記述が「意味そのもの」だとしたら、私たちは「理由」と「根拠」の項目を行ったり来たりした挙げ句、結局どちらの意味も理解できないことになります。

「言葉の意味は、心に思い浮かぶイメージだ」という考え方も古くからありますが、フレーゲやウィトゲンシュタインなどの哲学者によって批判されています。批判される理由のひとつとして、「抽象的な言葉の意味は、イメージで適切に表せない」ということがあります …

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