- コミュニケーションにおいては、「ペルソナ開発」「情報開発」「表現開発」「メディア開発」が必要。そのうち、「情報開発」が最重要。
- 企業の根本にある考え方から、構造化されたブランドストーリーを導く。ストーリーが、心を動かすブランドの核となる。
- 事前にリスクヘッジをして、コミュニケーションの成功確率を高めておく。
コーポレートコミュニケーションのポイント
コミュニケーションの核となる情報開発が最重要
コーポレートブランディングのためであれ、プロダクトブランディングのためであれ、コミュニケーションコンテンツをつくるためには、コミュニケーションの核をつくることが必要になります。核とはすべてのコミュニケーションのベースとなる、ブランドのストーリーのことです。
そもそもコミュニケーションとは
①誰に
②何を
③どう表現し
④どのような伝達方法で
伝えるかということですが、そのためにはそれぞれに対応して
①→ペルソナ開発
②→情報開発
③→表現開発(メッセージ開発、クリエイティブ開発)
④→メディア開発
が必要になってきます。
そして最も重要なのは②の「何を」伝えたらよいか、すなわち情報開発なのです。表現開発におけるクリエイティブの質を決めてしまうと言っても過言ではありません。
しかし、情報開発の重要性を腹の底から理解している人は極めて少ないと思います。なぜなら情報開発と表現開発を明確に区別していないケースは多く、そのため情報開発がきちんと行われていることは極めて稀だからです。本稿では、情報開発とその先の表現開発を中心に、そのポイントを解説していきます。
情報開発から表現開発まで 抑えるべきステップ
情報開発から表現開発に至る過程においては本来、明確な考え(理論)と明確なステップ(実践方法)が必要となります。
しかし、そのノウハウはほとんど明文化されておらず、プランナーやクリエイターの頭の中にのみあり、ブラックボックス化しているのが実情です。もちろん、彼らに任せることでうまくいく場合もあるかもしれませんが、考えなしに任せているだけでは成功確率は低くなってしまいます。
私の場合、【図1】のような明確なステップに基づきながらコミュニケーションを設計しています。各工程を、順番に解説していきます。
情報開発
①顧客の心を動かす企業価値の発見
商品・サービスの機能的価値だけでは、顧客の心は動きません。これは私が30年以上にわたりマーケターとして、数千人の消費者と向かい合ってきた経験から確信をもって言えます。
顧客の心を動かすのは、“企業の根本にある考え方”なのです。それを伝えることができれば、顧客の共感を得て、信頼を獲得し、社会的存在価値の確立をすることができます。これこそがブランディングです。企業の根本にある考え方とは、「企業の哲学」「世界観」「商品・サービス開発の発想」「販売の発想」「生産の発想」「サービスマインド」などがそれに当たります。
そして、企業の根本にある考え方は「その会社らしさ」でもあり、企業の性格、キャラクターそのものであると言えます。この企業の根本にある考え方をストーリーにすることによって、キャラクターを明確にするのです。ストーリーこそが顧客の心を動かすのです …