即席みそ汁の市場を開拓 定番の味を守り続けた永谷園「あさげ」の50年
高度経済成長期を経た1970年代、女性の社会進出に伴い、主婦の家事負担が増えつつある中で既に登場していた即席みそ汁。手ごろで便利なものとして一部利用されていたが、手づくりのみそ汁とは程遠いもの。そこで永谷園は“家庭のみそ汁と遜色ない上質な味わい”の実現をとことん追求した。
ロングセラーブランドのコミュニケーション戦略
街の薬局のシンボルとして愛されてきた佐藤製薬のマスコットキャラクター「サトちゃん」が、今年で60周年を迎えた。
サトちゃんが誕生する4年前、佐藤製薬では印刷物に象のイラストを用い始めていた。当時は、日本人の平均寿命が現在より20年近く短い時代(厚生労働省「平成30年簡易生命表」による)。長生きで知られる象を生活者の健康と深い関係のある製薬会社のシンボルとして、キャラクターに使用することを決めた。また健康で明るいイメージがあり、動物園で大人にも子どもにも人気の象はキャラクターとしてうってつけだったのだ。
その後、転機となったのは1959年。皇太子殿下(現・上皇)ご夫妻のご成婚を記念し、薬局の店頭で見かけるディスプレイ用の子象(チビゾウ)、"サトちゃん"が誕生した。
同社は、社名・製品の広告宣伝を開始するにあたり、立体的な新しいデザインの制作を試み、サトちゃんのデザインを童話作家として有名な飯沢匡氏とNHK『おかあさんといっしょ』の初代人形劇「ブーフーウー」のデザインなどで知られる土方重巳氏に依頼。サトちゃんの特徴でもある鮮やかなオレンジ色は子どもたちにも好まれ、明るく元気なイメージと健康を連想させる。実は誕生時にはまだ名前がなく、半年後にようやくサトちゃんと命名された。ネーミングは全国から寄せられた4万6600点もの応募の中から選ばれた。
同社 広報部の近藤祥子氏は、「親しみやすい薬局、魅力ある店頭づくりにより、客数や来店頻度、客単価を高め、少しでも売上に貢献したいという思いもありました」と話す。
セルフメディケーション・セルフケアが叫ばれる中で、街の薬局の重要性は高まっている。「ぜひ、お客さまとのコミュニケーションツールのひとつとして今後もサトちゃんを有効に活用してほしいです」と、近藤氏は展望を語った …