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消費者のコスパ感覚の現在地

コスパは「安さ」から「易さ」へ 買い物にも人生にも「可変性」を求める生活者

十河瑠璃氏(博報堂)

フリマアプリなど新たなサービスが登場していく中で、消費の在り方は大きく変化してきました。生活者の間に広がりつつある新しい消費の在り方と、その背景にある価値観の変化について博報堂生活総合研究所の十河瑠璃氏が解説します。

実は低下傾向?生活者の「節約志向」

「モノが売れない」と言われるようになって久しく、「失われた10年」はいつしか20年以上となりました。博報堂生活総合研究所(以下、生活総研)が毎月調査・発表している「消費意欲指数」(20~69歳の男女1500人に「モノを買いたい、サービスを利用したい」という欲求を100点満点で回答してもらった集計値)は、1993年の調査開始時点で60点を超えていた首都圏の季節調整値が、2018年には47点にまで落ち込んでいます。

一方で、こんな結果もあります。節約志向は高止まりしていると思われがちですが、生活総研が2年に一度実施している調査「生活定点」によれば、「今後、節約したいもの」23種類の合計は2010年をピークに減少しています(図表1、注1)。100円均一ショップや激安セールといった「安さ」を価値とするサービスを生み出した平成を終え、生活者のコストパフォーマンスの捉え方はどこに向かっているのでしょうか。

図表1 今後、節約したいもの
出典:博報堂生活総合研究所「生活定点」
※ふだんの食事や、外食、美容、家電など、23種類の商品・サービスにかけるお金について「今後、節約したい」と回答したスコアを合算したもの

10~20代を中心に広がる「決めない」消費

生活総研では今年、買い物や消費についての考え方・実態を聴取する「消費1万人調査」のなかで、フリマアプリ、サブスクリプションなどの新しい消費まわりのサービスの利用実態・利用意向を聴取しました(図表2、注2)。注目したいのは、「フリマアプリでの購入」および「フリマアプリでの出品・販売」の結果です。調査対象者全体の利用率は「購入」が28.5%、「出品・販売」が23.4%ですが、10~30代の若年層ではそれ以上の年代に比べてかなり高い値となっています。

図表2 サービス利用実態・利用意向
出典:博報堂生活総合研究所「消費1万人調査」

今後の利用意向についても同様で、10代については過半数が「利用したい」と回答しました。また、「動画などのWebサービスのサブスクリプション」についても、10~20代では2割以上がすでに利用しており、3割以上が利用意向ありと回答。年齢が若いほど、新しいサービスへの関心が高いことがわかります。

10~20代を中心に関心を集めるフリマアプリ、サブスクリプション。今回、私たちはこれらを積極的に利用している先端生活者にデプスインタビュー(注3)を行いました …

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