前号では、「ブランド資産はそれ自体がビジネスの根幹となり、中長期的な戦略構築の道しるべになる」とお伝えしました。最終回となる本号では、このブランド資産に不可欠な「ブランド体験」と、ブランドサイクルに関する考察を経て、幕を閉じたいと思います。
ランドーの創立者であるウォルター・ランドーは「製品は工場でつくられるが、ブランドは心の中につくられる」という言葉を残しています。ブランドには、人間の持つ感情的な側面によって評価され、蓄積されて、人にアクションを起こさせるという特性があるのです。この心の動きのメカニズムを表したもののひとつが「ブランド体験」と呼ばれ昨今、注目されています。
ブランド体験においては価格(リーズナブルか否か)や利便性(買いやすい、利用しやすい)など、当たり前に消費者に求められる要素と相反するような体験が、ときに顧客のロイヤリティを醸成します。製品やサービスのプレミアム化は、こうした体験により、顧客をファン化させた結果、起きる現象と言えるでしょう。
つまりは...
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