世界最大級の広告の祭典「カンヌ・ライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル」が6月に開催となった。89カ国から3万953作品のエントリーがあった今年の日本勢と世界の注目作品を紹介する。
01 サステナブル・デベロップメント・ゴールズ部門:Clemenger BBDO, Melbourne
広告起用の対価が得られない動物たち
MARS「The Lion's Share」
「M&M'S」や「スニッカーズ」などの菓子で知られるマースは、世界最大級のペットフードを製造する企業としての顔も持つ。同社によれば、私たちが日ごろ目にする広告のうち、約20%に動物が起用されていると指摘。加えて、広告でポピュラーな動物の90%が絶滅の危機に瀕しているか、危機に陥りつつあるという。
そしてカンヌ・ライオンズでサステナブル・デベロップメント・ゴールズ部門でグランプリを受賞した同社のキャンペーンが、「The Lion's Share」だ。人間の活動によって、年間1万種もの生物が絶滅の危機にさらされる。その中で同社は、生物多様性の根幹でもある動物世界を救うためにクリエイティビティを発揮することを目標にした。
国連開発計画(UNDP)と映像制作会社FINCHとともに活動を行っている「The Lion's Share」は、マーケティング活動に動物のイメージを使用したブランドや団体に対して、0.5%のメディア費用を、The Lion’s Share Fundへと寄付するよう求めるもの。
結果、世界最大級の7企業、50以上のブランドが野生動物のために立ち上がった。世界中に意識変化を呼びかけるために各社と結束しているが、今回のカンヌ・ライオンズ以降も取り組みは続く …
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