宣伝会議は「インターネット・マーケティングフォーラム2019」を、6月4日、5日の2日間にわたってANAインターコンチネンタルホテル東京にて開催した。今年で13回目の開催となる同フォーラムのテーマは、「想像と創造から生まれる顧客基点のバリューチェーン」。インターネットの新たな活用可能性が広がる中で、マーケターはバリューチェーンの川上まで視野に入れた"広義のマーケティング"が求められるようになってきている。本号では注目企業の講演から、今日的なインターネット活用アイデアと実践方法を紹介する。
変化するマーケットを捉えるには「顧客起点」が重要
インターネットやスマートフォンが登場して以降、情報通信環境は劇的に変化した。それに伴い、マーケティングを取り巻く環境も大きく変化している。
「90年代のマーケティングは物理的な世界を見ているだけで良かったが、今はデジタルな世界も見なければならなくなった」と語るのは、スマートニュースの西口一希氏。
続けてテレビとモバイルの世代別の利用時間数を示し、「10~20代はモバイルの利用時間が最も長く、50~60代はテレビの利用時間が最も長い。つまり、ターゲットとして全世代を捉えようと思うと、ひとつのマーケティング手法では不可能だということが分かる」と指摘。マーケティングを考えるうえでの前提として「物理的世界とデジタル世界、この2つがパラレルワールドとして混在していることを認識しなければならない」と主張した。
また、世界のマーケットの傾向については「時間的、物理的、心理的な無理や無駄がゼロになるサービスで溢れる"ゼロフリクションワールド"への過渡期」と話し、こちらも大きな変化の中にあることを示した。
では、動き続けているマーケットの中で、どのようにマーケティングを行っていくべきなのか。西口氏は「顧客自身が速いスピードで変化している。その状況に対応するために、顧客起点のマーケティングが必要」と話す。顧客起点とは、顧客を中心に考えるという意味ではなく、顧客から考え始めるという意味だ。
顧客はブランドとの関係性に応じて、「ロイヤル顧客」「一般顧客」「離反顧客」「認知・未購買個客」「未認知顧客」の5つに分類される。このうちどの顧客をターゲットにするかによって、使うべきメディア、手法、訴求内容などが変わってくるという。
例えば、スマートニュースから見たそれぞれの分類の顧客が日ごろどのようなメディアに接触しているかに注目すると、テレビや店舗は分類にかかわらずすべての顧客が接触しているが、モバイルは「ロイヤル顧客」「一般顧客」「離反顧客」による接触が多く、新聞・チラシは「認知・未購買個客」「未認知顧客」の接触が多い。つまり、「未認知顧客」をターゲットとした場合、テレビと新聞・チラシを使ったマーケティングが適切だということになる。
さらに詳細なマーケティング手法や訴求内容を考える際は、ひとりの具体的なユーザーの認知形成、顧客化、ロイヤル顧客化の過程を追って理解する「N1分析」が有効だ。「この分析を10人分繰り返せば、どうすればユーザー化するかのアイデアは簡単に出てくる」(西口氏)。
スマートニュースでは、ユーザー数の増加をねらって昨年3月に「クーポンチャンネル」をローンチ。アプリを利用していない顧客の中でも、「離反顧客」や「未認知顧客」などの分類に応じて打ち手を変えたところ、ユーザー数が伸び、今年1月に累計4000万ダウンロードを突破したという。
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