広告からマーケティング、そしてビジネス課題の解決…。クリエイティビティを生かして、その役割を進化させてきた、日本の広告産業。進化を続ける広告会社には、今後どのような未来が拓けていくのだろうか。

ADKホールディングス 代表取締役社長 グループCEO 植野伸一(うえの・しんいち)氏
同志社大学商学部卒業。1976年、前身の旭通信社に入社。第5営業局長、執行役員関西支社長、同コーポレート本部長などを経て2008年取締役執行役員、12年取締役常務執行役員。13年3月に代表取締役社長に就任。2019年1月の持株会社体制移行に伴い、現職。
持株会社体制で各組織の専門性を高める
2019年1月、アサツー ディ・ケイはADKホールディングスを純粋持株会社とする持株会社体制に移行。それに先立つ2017年12月にはTOBが成立し、2018年3月にはベインキャピタルが株式の100%を保有する株主となり、非上場会社となっていました。専門性の獲得、収益性改善の目標を掲げ、中期的視野での事業改革を進めるための決断でした。
持株会社体制への移行に伴い、傘下の事業会社としてADKマーケティング・ソリューションズ(以下ADK MS)、ADKクリエイティブ・ワン、ADKエモーションズの3社に機能を分化し、組織を再編しました。これも個々の組織が専門性を極め、よりフットワーク軽く、変化に対応できることを目指したものです。
持株会社体制に移行する以前から、傘下の会社間を模し、バーチャルで部門間取引を試してはいましたが、最初の段階ではやり取りが煩雑になるなど、少し混乱が見られました。しかし約半年が経過し、新体制がうまく機能し始めてきた実感があります。
傘下の事業会社はそれぞれに専門性を高めていきますが、すべての活動のベースになるのはデータドリブンマーケティング(以下DDM)です。今期は特にDDMを具体的に展開できる土台づくりに力を入れています。その活動のひとつがDMPの強化。今年の4月にはジェイアール東日本企画、東急エージェンシーの2社と一緒に、DMPプラットフォームを共同で開発する新会社である、Data Chemistryを立ち上げました …