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「令和」の消費──衣・食・住

ロングタームで変化する住まいの潮流 注目すべきは『デュアルライフ』

池本洋一氏(リクルート住まいカンパニー)

衣食住の中でも支出比率が高く、人生の節目に決断されることが多い「住」消費。不動産・住宅に関する総合情報サイト『SUUMO』の編集長を務めるリクルート住まいカンパニーの池本洋一氏に、「住まい領域」の潮流と未来予測を聞く。

二極化する不動産市場と新たな社会問題

住は衣食とは異なり、比較的ロングタームなトレンドの変化が見られるカテゴリーです。短期的なムードとしての気分よりは、収入や人口動態といった要因に影響を受けやすい特徴があると言えるでしょう。

その前提のもと、まずは現在の住領域における近年の潮流についておさらいをします。最も顕著なのは、大都市圏への人口集中、地方から見れば人口流出です。これにより地価、マンション価格、家賃は、高騰と下落の二極化する動きが窺えます。

都市部の不動産価格はバブル経済期にも高騰しましたが、その様相は現在とは大きく異なります。当時は都市部の不動産価格高騰の効果が郊外や地方にまで波及しましたが、アベノミクス以降の現在の流れでは都市部が高騰する一方で、郊外の不動産価格は下落しています。

こうした潮流の中で、大きく2つの社会問題が浮上。郊外においては高齢化をはじめ、ニュータウンにおいて空き家予備軍が同時多発的に発生しつつある点が懸念されています。

一方の都市部は、過密によって引き起こされる"ジェントリフィケーション"が問題視されています。ジェントリフィケーションとは、本来、都市は幅広い所得水準の生活者を包容する機能を有するところが、開発が進むにつれて不動産価格が上昇し、低所得者層が住めなくなるという、いま世界的にも叫ばれている問題です。

郊外と都市部の2拠点生活「デュアラー」が増加する

ここで消費トレンドに話を戻します。先述の社会問題の解消策が、「住」領域におけるトレンドにつながります。ひとつはシェアリングエコノミー。複数人で支払いを分割し、シェアしようとする動きです。シェアハウスが、代表例と言えるでしょう。

あるいは民泊。自分たちが家を使わない時は、他の人に使ってもらおうという発想です …

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