人々の心を揺さぶり、行動を喚起することを目的とする「広告」。まだ誰も見たことがない新しい表現を通じて、自社ブランドの魅力を強烈に訴求することを求められるインハウスクリエイターは、日々、どのような物事からインスピレーションを得ているのでしょうか。資生堂 クリエイティブ本部の小助川雅人氏が、「広告」の枠組みにとらわれず「気になった」ものを毎回セレクトし、クリエイティブワークに生かせそうなポイントを考察します。
とてつもなくリッチな人たちがいて、世界一高いビルがある。そのくらいの知識しかないまま、ドバイに向かい、その国の未来に向けた取り組みに触れる機会を持った。話を聞くにつれ、ドバイという国、その未来に取り組む姿勢に、引き込まれていった。この国の様々な取り組みが実にクリエイティブであり、その視点で見れば、政府は有能なクリエイティブディレクターとも言える。
ドバイは独立が1971年で、まだ50年も経っていない。もともと真珠が採れる漁港くらいしかない非常に貧しい地域だった。石油は採れていたが当時の国王はそれが有限であることを受け止め、石油に頼らない経済成長を目指した。
自国の現状を把握し、世界の動きに目を配り、ビジョンを明確にすること。「未来」にフォーカスする。そう決めたことで具体的なアクションが決まっていった …
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