2019年1月、スマートニュースは、同社が提供するアプリ「スマートニュース」のダウンロード数が2016年10月時点の2倍にあたる4000万件を超えたと発表しました。この急激な成長をもたらした仕掛け人である同社 執行役員 マーケティング担当の西口一希氏に、イー・スピリット代表の足立茂樹氏が話を聞きました。
広告で伝えることは商品の「便益」と「独自性」
足立:西口さんが2015年にスマートニュースに入られた時点で1000万件だったダウンロード数が、この1月に4000万件(日米合算)を突破したそうですね。大きな成長をもたらした戦略の肝とは何でしょうか。
西口:入社当時、考えた一番の課題は認知度の低さでした。スマートニュースの存在自体が知られていない、あるいは知っていても自身にどういう便益があるのか伝わっていない。ただ、ユーザーのロイヤリティや評価は非常に高くて離脱率が低いこともわかっていました。まるで「知る人ぞ知る老舗の饅頭屋」みたいなブランドだと思いました。
本当においしい饅頭なのに、同じような饅頭店がたくさんできたために、味も他と変わらないだろうと思われている。他と違ってすごくおいしいということは、食べてもらわなければわかりません。だからと言ってテレビCMで「おいしいですよ」と連呼したところで、響きはしません。そこで、便益と独自性も含めてサービスの認知度を上げることに注力しました。
足立::独自性というのは、ユニークセールスポイントということですか。
西口:そうです。よく「差別化」という言葉が使われますが、差別化は比較で考えますよね。例えば洗濯洗剤なら、「より白く」とか。でも、技術が進んだ今はどれを使っても白くなるので比較の差別化は効きません。それよりも重要なのは独自性で、その商品だけが持つオンリーワンの要素がないと誰も注目してくれません。
足立:スマートニュースの独自性と便益をどのように捉えられたのですか。
西口:それが、いろいろな人に話を聞いたのですが、圧倒的なユニークセールスポイントというものは見つからなかったんです。
足立:え!それは困りましたね。
西口:スマートニュースの便益性は、操作が簡単で素早く反応するので、1分もあれば、かなりの情報を取得することできる点です。しかし、それは使ってみないとわかりません。だったら1回使ってもらえるようなコンテンツをつくろうと、動物や料理の動画チャンネルとか、いろいろとアイデアを考えました …