テクノスデータサイエンス・エンジニアリングは2月22日、宣伝会議(東京・南青山)で「AI時代のユーザーエクスペリエンスセミナー」を開催した。登壇者は、AIを活用した日本とグローバルのマーケティング事例を紹介。パネルディスカッションでは、AIがどのような目的で使われるのか、AIのあり方そのものについての議論が交わされた。
AIの強みと弱みを把握して目的を持った施策を策定する
テクノスデータサイエンス・エンジニアリング(以下、TDSE)はビッグデータやAIを活用したソリューションとAI製品を提供していることから、本セミナーを開催した。
第1部ではLINEの砂金信一郎氏が登壇。AIを取り入れた「LINE Clova」などの仕組みを紹介しながら、LINEにおけるAI活用例とサービス向上への貢献、マーケティング分野での応用が期待されるAIプラットフォームについて説明した。
第2部ではドイツのソフトウエア会社CognigyのCEOであるPhilipp Heltewig氏が登壇した。CognigyはTDSEをアジアパシフィックでのパートナーとして、対話型AI製品「Cognigy」を展開する。同氏は、「Cognigy」を活用した世界の事例を紹介し、顧客に対してのサービスに限らず、従業員をサポートするサービスなど、多様な活用の可能性を語った。
第3部ではリクルートテクノロジーズの山田悦明氏と下條雅弘氏、TDSEの尾形真輔氏が登壇し、テレマーケティングにAIを活用したマーケティング事例を紹介した。
まず下條氏より、人材派遣会社リクルートスタッフィングに登録しているスタッフのうち未就業である人への施策が紹介された。外部データを使い、効率の良いアプローチが可能になったと述べた。
次に尾形氏が、外部データ活用による浮遊層へのアプローチがポイントだと説明。コモディティ化している現状で、Webサイトを行き来する「浮遊層」を囲い込むことがシェア拡大の鍵となると分析した。
山田氏は、①AIは万能ではない、②AIを使う側は強みと弱みを把握する、③データサイエンティスト側は事業側の一員だという認識を持つ、この3点が大切だと述べた。
第4部では資生堂の小助川雅人氏が加わり、砂金氏、山田氏の3人がパネルディスカッションを実施。AIのあり方について議論を交わした。
小助川氏は、視覚障害がある人に向けた「Braille Nails」プロジェクトを例に挙げ、メーカー企業にとって、AIにはどのような活用可能性があるのかについて語った。
山田氏は、AIを活用することを目的化しないために「技術的に可能かどうかだけでなく、ビジネスにインパクトを与える効果が見込めるかどうかを考慮している」と話した。さらにAIを活用したデータ解析を次のアクションや意思決定に繋げるために、小助川氏は「アジャイルな開発のシステムや考え方を実践し、組織として認めていく環境をつくるにはトライ&エラーを許容する風土が必要」と述べた。砂金氏は「100%を目指さず、8割できていたら一歩踏み出して良い。AIは思考実験だ」と語り、セミナーを締めくくった。
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