産業界では「サブスクリプションモデル」のビジネスが話題にとなっている。顧客と継続する関係をつくる、サブスクリプションモデルをマーケティングの視点、さらにパーチェスファネルの観点から、Zuora Japanの桑野順一郎氏が解説する。
POINT 1 サブスクリプションは、ビジネスモデル自体の大きな変革である。
POINT 2 顧客と直接つながることで、真のOne to Oneを実現することができる。
POINT 3 サブスクリプションビジネスおいては、「購買」が起点となる。
所有より利用に価値 ビジネスモデルが変化する背景
「サブスクリプションモデルは、ただの課金形態の変更ではなく、企業の考え方、カルチャー、プロセスを大きく変革しなければならないもの」と話すのは、Zuora Japan代表取締役社長の桑野順一郎氏だ。
「まず、この変化が起こる背景として、二つの要因があります。顧客の志向が"所有"から"利用"に変わっていることと、モノが売れない時代を迎えてプロダクト販売モデルでの成長の限界がきていること」と説明する。
生活者がモノを買って所有するのではなく、利用することに価値を置くようになっている。それにより、良いプロダクトをつくって、既存のチャネルに流して、とにかく数を多く売る、という今までのプロダクト販売モデルの限界がきている。モノを所有すること自体の価値が下がっているため、この前提が覆されようとしているのだ。
ビジネスモデルが変われば、当然マーケティング活動にも変化が求められる。マーケターは体制をどのように変えていくべきなのだろうか。
顧客とつながり続けるから商品は永遠のβ版になる
「サブスクリプションモデルに移行をする場合、プロダクト販売の延長線上で考えるとうまくいきません。考え方自体を変えていく必要があります」と桑野氏。
これまでは大量に売ることを目的にして、広く認知を取るために広告を打ち「誰に売ったのか」の分析は二の次。ところがサブスクリプションでは、顧客とダイレクトにつながることが前提になる。顧客のニーズは時間とともに変わっていくため、それを捉えることで商品も変えていく必要がある。桑野氏は商品が「永遠のβ版」となると評した …