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広告の舞台裏

発売から30年以上経ても成長 「午後の紅茶」の広告戦略

キリンビバレッジ

キリンビバレッジの「午後の紅茶」は、コールド商品とホット商品でまったく異なる広告クリエイティブを展開し、売上を伸ばし続けています。その戦略について、イー・スピリット代表の足立茂樹氏がブランドマネージャーの松井のり子氏に迫ります。

ホット商品のテレビCM、午後の紅茶「あいたいって、あたためたいだ。18冬」篇。

季節やニーズに合わせてクリエイティブや訴求を変化

足立:「午後の紅茶」は2016年に年間販売数量が5000万ケースを突破し、その後も着実に右肩上がりの成長を遂げています。そもそも1986年に「午後の紅茶」が発売される以前には、ペットボトルの紅茶は存在していなかった。市場を開発したパイオニアブランドだそうですね。

松井:1986年に日本初のペットボトル入り紅茶飲料としてストレートティーを発売したことがブランドの始まりです。今はストレートティーに加え、レモンティー、ミルクティー、おいしい無糖の4アイテムがコールドとホット、それぞれブランドの基幹商品に育っています。

足立:メインターゲットはどういう人たちですか。

松井:ブランドのターゲットは、20~30代の女性で設定していますが、「午後の紅茶」には男性のファンも多くいらっしゃいます。ホット商品で実飲用が多いのは30~40代の男性です。コールド商品も10~60代まで幅広い世代の方が飲んでくださっています。基本のターゲットの設定をしてはいますが、広く老若男女に親しんでいただきたいというのがブランドのスタンスです。

足立:「午後の紅茶」の広告戦略で面白いと思うのは、コールド商品とホット商品で別のブランドではないかと思うくらいにコミュニケーションをガラっと変えているところ。特にホット商品のテレビCMはシリーズ化もされて、評判が良いようですが、広告を始めたのは最近ですよね。

松井:今の冬のシリーズは2016年の冬からですね。

足立:その年にホット商品に注力しようと思われたということですか。

松井:そうです。清涼飲料水の中で紅茶市場の占める割合はわずか5%と小さいので、ここ数年は、紅茶を飲む習慣がなかった人たちにも「午後の紅茶」を買っていただき、市場自体を大きくすることをブランドの目標に据えています。そうしたなかで、冬のホット飲料のニーズと親和性の高い紅茶を、冬の代表飲料にしようとCMシリーズの展開を始めたのです。

足立:あのCMはすごく心に沁みますよね。毎回、選曲が素晴らしいですし、上白石萌歌さんの歌声に感情が揺さぶられます …

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