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デジタル時代におけるブランドビジネスのアップデート

ブランドビジネスにおける店舗を基点にしたデジタルトランスフォーメーション

吉屋智章氏(元ロクシタンジャポン)

価格や機能の差を超え、ブランド力が重要要素となるブランドビジネスの世界。その世界において、デジタルテクノロジーはどう活用できるのか。定量化しにくいブランド力をデジタルテクノロジーの活用によって現代に合わせたアップデートをしていく戦略を全6回で解説します。

アメリカの小売りの変化が日本でも起きるとは限らない理由

最終回では、未来に向けての話で連載を締めたいと思います。

まずデジタル時代に、ブランドビジネスにおいて店舗が果たす役割から考えていきたいと思います。リアル店舗はメディアになる、つまり店舗は購買接点としての役割から情報取得接点へと変容していく。店舗で大切なのは購買よりも体験である、といった議論がありますが、日本において、その両者のバランスが取れるようになるまでには時間がかかるでしょう。

なぜなら5年ほど前に起きた「ショールーミング」の議論と同じく、アメリカで起きたことが、そのまま日本でも同じように起きるとは考えにくい。理由は、百貨店やステーションモールの利益構造の違いがあります。欧米の百貨店は出店するブランドの売上だけではなく、出店や継続で得られる地代を中心に利益を構築しています。

背景としてアメリカは日本と違い、ブランドが独自に路面店をオープンできるエリアが多く、ブランド側にも店舗を地代を中心としたコストとして展開する意識が根付いていることが挙げられます。

当然、売上が悪ければそのコストをペイできないのですが、逆に言えば、地代を払えば出店できることになり、必ずしも集客のある店舗ばかりが、"常に"並ぶ状態が保たれるわけではありません。逆に日本では、いわゆる館(やかた)と言われる百貨店、モールなどは絶えず鮮度と話題性を見て出店ブランドを選定しています。また地代よりも売上に対する料率で計算する場合が多く、欧米に比べると館側の意図を持った新陳代謝が保ちやすい構造になっています …

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