1986年に設立された国際広告賞ロンドン・インターナショナル・アワーズ(LIA)。豪華な授賞式の代わりに、世界中の若手クリエイターを対象とした教育プログラム「クリエイティブ・カンバセーションズ」が、米ロサンゼルスで1週間にわたって行われるのが特徴だ。ここでは、5部門のグランプリ作品を紹介する。

01 プリント部門:Area 23, An FCB Health Network Company
銃規制を求める声を届ける手書きの手紙
Change the Ref「Posts Into Letters」

雑誌、新聞、出版物、ダイレクトメールなど印刷されたメディアを対象とするプリント部門。人の心に訴える手書き文字というアナログ技術と、アルゴリズムなどのデジタル技術それぞれの長所を組み合わせた銃規制キャンペーン「Posts Into Letters」が、今年のグランプリに輝いた。
2018年米国では、フロリダ州とテキサス州の高校で続けざまに銃乱射事件が起こった。受賞したキャンペーンはフロリダ州の乱射事件で息子を亡くしたマニュエル・オリバー氏が立ち上げた非営利団体Change the Refのもの。
米国において政策に影響を及ぼすには、市民の代表、すなわち州の下院議員に直接訴えることがもっとも効果的だとされている。しかし、銃規制について、多くの市民が何らかの変化が必要だと考えているにもかかわらず、政策的な実現を下院議員に直接訴えを伝えることは稀だという。
オンライン上で声を上げているだけでは政策に影響を及ぼせない。こうした観点から同キャンペーンは、手書きの手紙に着目。生前のノートなどから、銃乱射事件で犠牲となったオリバー氏の息子ホアキンの筆跡をデジタル技術で再現し、ホアキンの筆跡で州議会へ手紙を送ることができるWebサイトを立ち上げた …