51万7329点(中高生部門の応募数を除く)の応募があった第56回「宣伝会議賞」。このうち一次審査通過作品は5555点と、今年も通過率にして約1.1%の狭き門となりました。一次審査通過は、いったいどれほど難しいことなのか。本稿では中央大学の小杉のぶ子教授が、身近な例をもとに確率論の観点から解説します。
一次審査通過は数字以上に難しく、すばらしいこと
一次審査を通過された皆さん、おめでとうございます。確率論的な観点においても、約1.1%という通過率はかなり低いものだと言えます。皆さんがイメージしやすいよう身近な例で置き換えて考えてみましょう。
例えば「トランプ」。4種類のスート(ハート、スペード、クラブ、ダイヤ)に、それぞれ1(エース)から13(キング)までの数字が記された、52枚のカードがありますよね。52枚のカードを全て裏返して並べ、その中から指定された1枚のカード、例えば「ハートのエース」を1回で引き当ててくださいと言われたら、皆さんは当てられる自信はあるでしょうか(図1)。
確率を計算すると、1回で引き当てられる確率は約1.92%(=1/52)ですので、「宣伝会議賞」の一次審査通過率のほうが低いことが分かります。仮にジョーカーの2枚を入れたとしても結果はさほど変わりません。
次に確率計算の問題で頻繁に取り上げられる「コイントス」を例に考えてみます。コインの表と裏が出る確率は、それぞれ1/2とします。コイントスで、コインの「表」を連続で出そうと思った時、皆さんは何回なら連続で出せると思いますか。チャンスは1度きりです。3回連続や4回連続で表を出すことも、かなり難しいと予想されるのではないでしょうか …