米国・ラスベガスで1月8日より開催された「CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)2019」。50年の歴史があるCESは、かつての家電ショーの位置付けからテクノロジーのイベントへと変貌を遂げている。CESの中で、マーケターが知るべき潮流は何か。江崎グリコの玉井博久氏の視点で見た、レポートを紹介する。
Report②(玉井博久)─事業者の視点で読み解く
デジタルテクノロジーが我々にもたらす未来は、全ての商品・サービスがパーソナライズされる世界…。そんな風に感じさせる内容でCES2019の幕が開きました。例えば、そのひとつがJohnson & Johnsonが発表したサービスです。センシング技術を用い、人の体の状態を可視化するプロダクトは以前からありましたが、可視化される内容がとても個人的な情報にも関わらず、それを踏まえて提供されるサービスは未だパッケージ化されており、他の人と何も変わらないものであるというのが現実。
Johnson & Johnsonがユーザーの声を聞き、分かったことは、どれだけ自分の肌の状態を把握できたとしても、自分だけが抱えている問題を解決してくれる商品こそが、ユーザーが求めているのだということでした。そこで彼らが今回、紹介したサービスが「Neutrogena MaskID」です。自分の顔の状態を把握した上で、自分に最適と思われる形でパーソナライズされたスキンケア商品を購入できるサービスです。

昨年のCESに続いて、イノベーティブなサービスを打ち出した「Neutrogena」。
パーソナライゼーションに舵を切るパナソニックの取り組み
他の企業でのパーソナライズされたサービスの例としてパナソニックを紹介したいと思います。パナソニックでは、これからの取り組みとして「プラットフォーム」「パートナーシップ」「パーソナライゼーション」の3つを掲げ、なかでもパーソナライゼーションを主要な取り組みのひとつに挙げていました。
具体的には「Human Characteristic Sensing」「Physical Stress Sensing」、「Emotion Sensing」に取り組み、例えばEmotion Sensingではドライバーの感情を捉えて、感情に浮き沈みがあっても安全運転ができるようにドライバーをサポートする技術などを発表しました。
またSAMSUNGは、テレビでのiTunesやNetfixなどのコンテンツ視聴におけるパーソナライズに取り組んでいます。ユーザーのこれまでの視聴内容に応じてパーソナライズされたコンテンツを、レコメンドするというものです。
パーソナライゼーションの動きは、こうした代表的なエレクトロニクス企業だけに留まるものではありません …