「JALマイレージバンク」など、これまでどちらかといえばロイヤルユーザーに向けたサービスに主軸を置いていたJALが、この2月からファン向けコミュニティサイトを開設。搭乗回数に関係なく「JALが好きなファン」にエンゲージメントを高めてもらうことを目的にした、この施策の背後にはどのような戦略があるのか。日本航空の山名氏に聞いた。
POINT
POINT 1 SNS投稿だけでは、従来のマス広告と変わらない。
POINT 2 顧客との対話が、エンゲージメントを高める。
POINT 3 緩くつながるデジタルと、熱量を高めるリアルの融合。
SNSのコメントにも返信 双方向コミュニケーションに注力
日本航空(JAL)の山名敏雄氏は2016年4月よりコーポレートブランド推進部に所属。「JALはメーカーのように多くのプロダクトブランドを抱えている業態ではないので、ブランドといえばコーポレートブランドを意味し、私はそこで主にデジタル領域におけるブランドコミュニケーションを担っています。特に中心となるのがSNS周りの運用の統括。具体的には、Facebook、Instagram、LinkedInを活用しています」という。
SNSを使ったコミュニケーションの中で特に最近、山名氏が力を入れているのが顧客との双方向のコミュニケーションの実現だ。「例えばFacebookで記事を投稿すると、平均で50件くらいのコメントがつきます。それに対して、1件1件返信をするなど、顧客との対話に力を入れています」。
SNSは顧客とダイレクトにつながることのできる点が魅力だが、投稿をしているだけでは、フォロワー全員に対する一斉の配信となってしまい、従来のマス広告とコミュニケーションの仕方は変わらなくなってしまう。
SNSだからこそ実現できる価値とは、エンゲージメントを高めること。そう考え、あえて手間のかかる個々の顧客との対話に踏み切ったのだという。このような方向性の延長で、2019年2月にはファンとの新しい接点となるコミュニティサイトを開設する。
コミュニティサイトを開設しファン同士の交流を促す
今回、JALのオウンドメディアのひとつとして立ち上げられるコミュニティサイトは、ファンがコンテンツを発信し、ファン同士の交流を促し、エンゲージメントを高めていくことを目的にしたものだ …