広告マーケティングの専門メディア

宣伝担当者が知っておきたいクリエイティブの基本

マーケティングの変遷から理解する オウンドメディアを軸としたコンテンツ活用

若原 強 氏(コクヨ)

今月のテーマ:実践「コンテンツマーケティング」

広告が生活者に届きにくい時代。生活者に関心を持ってもらう、あるいは自分ごと化してもらためには工夫が欠かせません。そのひとつとして有効なのが、生活者が興味関心のある切り口で、かつ価値を伴った形で企業が情報発信する手法、「コンテンツマーケティング」。グローバルでの潮流も踏まえながら、オウンドメディア/外部メディアを活用したコンテンツマーケティング実践のポイントを、プロフェッショナルが解説します。

    オウンドメディアを軸としたコンテンツ活用のポイント!

  • オウンドメディアはコンテンツマーケティングの一手段。掲載内容やタイミングをコントロールできる利点がある。
  • コンテンツ制作には、読み手に受ける企画力と現場で得られる自社事業の深い理解を持ち合わせた人材がカギに。
  • KPIはサイトの成長に合わせ、オウンドメディアの貢献度と、売上への貢献度がバランスされる指標を設定する。

情報取得行動の変化から注目された背景が見える

マーケティング先進国のアメリカでは、2000年代初頭より注目を集めてきたコンテンツマーケティング。近年は日本でもこの言葉をよく見聞きするようになりました。とはいえ「コンテンツマーケティングって何ですか?」と聞かれたときに、自信をもって答えられる方はどれくらいいるでしょうか。

執筆時点でのWebでの検索結果では、概ね以下のような主旨の説明がどのWebサイトにも並んでいました。

「ターゲットユーザーにとって価値あるコンテンツを発信し続けることで、見込み顧客を惹きつけてファン化し、問い合わせや購買などの行動へつなげることを目指すマーケティングの手法」。

これは、コンテンツマーケティングの特徴を最大公約数的に説明した、全くもって正しい内容です。一方で、この説明だけでは、なぜコンテンツマーケティングが注目を集めるようになったのかが分かりづらいように思います。

そこで、まずはコンテンツマーケティングが注目されるようになった背景から理解を深めていきたいと思います。「コンテンツマーケティングに注目が集まり始めた」というからには、それまでに主流だったマーケティングの考え方があるはずですね。そのひとつの答えとして、テレビや新聞などのマスメディアを用いて企業のメッセージを訴求する、いわゆる「マスマーケティング」が挙げられます。

以前の主流であったマスマーケティングが、時代の変化によってどのような課題を抱えるようになり、結果としてコンテンツマーケティングに注目が集まり始めたのでしょうか。この流れはとても大事で、コンテンツマーケティングに取り組むうえでの理解の軸足となるポイントです。

ここで捉えるべき時代の変化は、やはりインターネットの浸透による「広告の位置づけの変化」と「生活者の検索行動の増加」ではないかと考えます。「広告の位置づけの変化」とは、いわゆる4マスメディアに加えてブログやSNS、スマホアプリなどのメディアが多様化する中、マスマーケティングの主要施策である「広告」も乱立傾向が強まり、最近の生活者にとって広告は「情報過多で邪魔に見られがち」な位置づけへ変化してしまったことです。

「生活者の検索行動の増加」とはインターネット浸透前は、情報は「一方的に提供されたものを受け取る」ものであったのに対し、現在は「必要な時に自分で探しに行く」ものに変わってきたように、情報取得に対する生活者の行動の変化を指します。

つまり、生活者が従来の「広告」を求めなくなる一方、欲しい情報を自分で検索するようになってきた状況に対して、自社商材をアピールし、問い合わせや購買行動を起こしてもらうための工夫が求められてきたということです。

ここで冒頭の、コンテンツマーケティングの説明文を再度見てみましょう。今度は比較的スッと頭に入ってきませんか。先述した課題に対し、自社商材につながる有用な情報を自社のWebサイトなどに用意しておき、検索行動を待ち構えてうまく刈り取る手法がコンテンツマーケティング、という理解が進むのではないでしょうか。

3つのポイントで解説 オウンドメディアの運用方法

オウンドメディアは、コンテンツマーケティングの一手段として位置づけられます。コンテンツマーケティング自体は外部メディアの活用などでも実現可能ですが、自社メディアの良いところは掲載内容や掲載タイミングを自由にコントロールでき、コンテンツマーケティング戦略を効果的に進められる手段となるところです。

私の所属先のひとつであるコクヨのオフィス家具事業は、オフィスなどの働く場の提案と構築を主業務としています。そのオウンドメディアのひとつとして、「ワークスタイル研究所WEBサイト(以後、WS研WEB)」が運用されています。

まだ発展途上ではありますが、本稿の後半ではWS研WEBを、これからの変化を随時リアルに追っていける素材として例に挙げながら、オウンドメディア運用のリアルなポイントについて掘り下げていきたいと思います。

➊ テーマ設定

テーマ設定に関してよく言われるのは、商品やサービスを直接訴求する営業トーク的内容ではなく、その前段として生活者が欲するであろう情報を発信する、ということです。その情報には、Entertain(クイズやおもしろ動画などで「楽しませる」)、Inspire(診断ツールなどで「気づかせる」)、Educate(背景にある考え方やトレンドなどを「学ばせる」)、Convince(導入事例などで「納得させる」)などのパターンがあるといわれています。

WS研WEBでは、オフィス家具の情報やオフィス構築事例などは一切載せておらず、今後オフィスを構築しうる方々や、働き方テーマで発信をしうる外部メディアの方々などが参考にしてくださりそうな、新しい働き方に関する研究レポートや対談・鼎談を主に発信しています …

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