2009年にスタートし、9回目を迎えた「宣伝会議サミット2018」。宣伝会議では、2018年11月14日、15日の2日間にわたり、ANAインターコンチネンタルホテル東京にて開催した。本サミットでは、広告・マーケティングの領域で、日々刻々と変わる環境に、力強くもしなやかに対応し、成果を出しているマーケティング・宣伝部門の担当者が登壇。成果を上げた事例のHow toのみならず、仕事に臨むマインドセットについて紹介した。その講演の一部をレポートする。
最高の顧客体験を実現するためにAIとデジタルマーケティングの融合を図る
カスタマー・エンゲージメントに関わるソリューションを提供する日本アイ・ビー・エム。同社が、日本を含む世界のトップ企業で実務に当たるCMOに自身の役割についてヒアリングしたところ、「顧客体験が最も重要」という回答が多かったという。
同社Watsonカスタマー・エンゲージメント事業部 事業部長 樋口正也氏は、「体験そのものは企業によって様々だが、売上を伸ばすことだけではなく『体験』が企業の成長にとって大きなポイントとなる」と述べた。
同社は、2010年以降企業買収を進め、傘下に収めた企業のMAツールに、同社のビジネス課題を解決するAI「IBM Watson」を連携させ、デジタルマーケティングとAIの融合を目指している。樋口氏はテクノロジーを活用し、いかに顧客体験を向上させるのか、マーケティング、コマース、サプライチェーンという3つの観点から解説した。
まず同氏はテクノロジーによる市場環境の変化が、競争環境や事業の捉え方に影響を及ぼしていると指摘。「事業が変わるとターゲットも変わる。マーケターも施策を抜本的に変え、その変化のスピードについていかなければならない」と話した。事例として、マツモトキヨシが全国1,600店舗をオムニチャネル化した際に、同社のプラットフォームを活用して実現した例を紹介。データ分析の自動化やデジタルとリアルのタッチポイントの融合で効果を上げたと話した。
ECにおける安心、安全な買い物にも同社のブロックチェーン技術が活用されている。これは広告にも応用されており、意図しない場所への出稿の監視などにも使われているという。樋口氏は「私たちのサポートが顧客体験の向上を支えている。MAだけではなく、さまざまな技術で貢献することができる」と話をまとめ、講演を締めくくった。
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デジタルとアナログの組み合わせで顧客体験を向上させる
デジタルマーケティングと、そこに活用できる技術が急速に発達していることもあり、話題はデジタルに偏りがちだ。そうした現状に危機感を覚えるイーリスコミュニケーションズ 鈴木睦夫氏が、デジタルとアナログを組み合わせたコミュニケーションの必要性を説き、その成功例をメガネスーパーの宮森修仁氏、ICI石井スポーツの川村尚弘氏が語った。
鈴木氏はまず、eメールによるリーチが全体の10%以下にとどまるというデータを紹介しながら、「接触できていないホワイトスペースにコミュニケーションをとれれば伸びる余地がある。そのためにデジタルの手法のみにとどまることはない」と話した。また、富士フイルムやセシールの事例を紹介。DMを先に送る方が得られる効果は高いという顧客へ接する順序の話や、クリエイティブよりもタイミングの方が重要といったテクニックについて解説した。
ICI石井スポーツの川村氏は、POSデータをもとにセグメントを分けてDMを使ったコミュニケーションを実施した事例を紹介。また、現在は社内のデータを連携し、顧客ごとのシナリオを組み、コミュニケーション設計していく展望にも触れた。
メガネスーパーの宮森氏は、顧客データを分析し、顧客の状況に合わせたDMを発送することで、来店率やリピート率を向上させた事例を挙げた。複数パターン作成したシナリオを、店舗側からも選択できるようにしたことで、顧客体験も向上させることに成功した。
最後に鈴木氏は「今回はeメールとDM、DMと店舗という連携を紹介したが、まだまだデジタルとアナログの組み合わせによってできることはたくさんある」と期待を覗かせた。
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