創造的に課題を解決するチームワークソリューション
近年「顧客にとっての価値」が重視されるようになり、企業経営においてマーケティング視点でのイノベーションが求められるようになっている。創業以来、研究開発型の企業としてイノベーションに取り組むスリーエム ジャパンの渡辺和則氏は「当社は技術、製品、イノベーションですべての会社、家庭の課題を解決していくというビジョンを持っている。キーワードとして使用しているのが『イノベーション』」と述べ、同社のイノベーションを育む取り組みについて説明した。
同社には各自勤務時間の15%を好きな取り組みに使うことができる15%カルチャーと呼ばれる独自の企業文化がある。取り組みの内容について上司に対する報告義務がなく、会社の設備を使って新しいことにチャレンジできる。この取り組みで生まれた代表作がポスト・イット®ノート。
実は、ある技術者が強力な粘着剤を開発している時にできた弱い粘着剤が発端で、つまり失敗作だったという。使い道を探していた彼は、別の科学者が教会で歌っている時に楽譜に挟んだしおりがいつも風で落ちて困っていて、もしかしたらこの粘着剤が使えるかもしれないと思いつき、2人で15%カルチャーを使って、業務に関係ない糊付きのメモの開発に没頭、13年の年月を経て完成させた。
渡辺氏は「当社にとって技術、科学は財産だが、実際に問題を抱える企業、個人の役に立ってこそ初めてイノベーションと言える」と述べた。
このようにイノベーションを大事にする同社は22年前から顧客企業とのイノベーションを推進させるため、今でいう「オープンイノベーション」を行ってきた。ここ2、3年は顧客との新たな問いを探求して創造的に課題を解決するためにワークショップを開催している。
カスタマーリレーション本部の太田光洋氏は「お客さまと問いをつくり、その問いを創造的に解決する手段を探索していく。ワークショップの技法の中でも、最近はドイツで開発されたブレインライティングが好評だ。台紙に貼ったポスト・イット®強粘着ノートに個人ワークでアイデアを書き、チームで回して共有しながら連想を広げる」と述べ、ポスト・イット®製品を利用するチームワークソリューションを紹介。
コラボレーションを促進してチームとしての発想力を高めるためには、個人とチームのワークを交互に行いながら、発散と収束を繰り返すことが必要だという。また文具・オフィス事業部の西田巌氏は、ワークショップは個人とチームでやる作業の繰り返しが基本で、「個人で考える時間を過ごした上でチームワークを行う。新たな知見を加えてアイデアを重ねていくことにより個人ではできない部分がまかなえる」と述べた。
最後に太田氏が「イノベーションをもたらすチームワークの大切な要素は協働性と能動性」と総括してセミナーを締めくくった。
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