「ココアはやっぱりモリナガ♪」のキャッチフレーズでお馴染み、森永製菓の「ミルクココア」は2019年で発売100周年を迎える。世代を超えて愛されてきた森永ミルクココアは、約97億円(インテージSRI調べココアカテゴリー 2017年10月~2018年9月 全国・業態別アイテム累計販売全額)のココア市場でトップシェアを誇り、日本における粉末ココア飲料のパイオニアと言える存在だ。
森永製菓は創業者の故・森永太一郎氏が欧米視察などを通して、異文化に触れる中で西洋菓子に衝撃を受け、日本に持ち帰りたいという思いから始まった企業だ。
同社 マーケティング本部 菓子食品マーケティング部 食品カテゴリー担当の發智 晃氏は「森永太一郎は欧米では一般的に飲まれていた栄養豊富なココアを日本に普及させたい、高級品のココアを日本人にも飲んでもらいたいという熱い思いを持っていました。そこで、国内製造、高品質で安心して飲んでもらえるココアを、適正な価格で広めていきたいと考え、森永ミルクココアが誕生したのです」と話す。
また發智氏が「美味しくて健康的な"健康嗜好飲料"である点が一番のポイント」と語るように、1995年のテレビ番組でココアの健康感が紹介されたことをきっかけに、ココアの健康的効果が一般に認知されるように。放送のたびにブームを起こし、店頭からココアが姿を消すこともしばしばあったが、実はこうしたメディア露出には、長年の研究や論文発表をしてきた同社内の研究部門の功績も関係している。
周年企画についてはまだ公表していないが、發智氏は「森永として100周年を祝うことではなく、お客さまにとって価値ある提案ができるきっかけづくりに活用したいと考えています。周年を節目として良質なコンテンツをお届けし、その中で100周年だということに気付いてもらえるような企画を目指していきたいです」と意気込む。
視点01 市場開拓
具体的な飲用シーンを提示して需要を創出
1世紀にわたって愛されてきた森永ミルクココア。しかし、発売当時はココア自体が消費者に知られていないばかりか高価だったため、広告宣伝を通じた啓蒙活動には苦労を要したという。
例えば1924~38年には、登山家の栄養補給のために富士山の登山口で「ココア接待所」を開催。積極的な試飲活動を行った。こうして、まずはココアに親しんでもらうところから始まり、現在ではメインターゲットを30~40代女性とその子どもに据えながらも、商品展開や販促で幅広い層へとアプローチを続けてきている …