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今だからこその思い「しなきゃ、なんてない。」 ブランドパーパスを込めたLIFULLのCM

LIFULL

不動産情報サイト「LIFULL HOMEʼS」をメインに、介護や地方創生などさまざまな事業領域で新事業を興し続けてきたLIFULL(ライフル)。2017年4月に現在の社名に変更して以降、コーポレートブランディングに力を入れてきたが、その一環で2018年10月より新CM「しなきゃ、なんてない。」篇の放映を開始した。このCMを制作した意図と今後の展開について、LIFULL執行役員 COO川嵜鋼平氏とHASHI クリエイティブディレクターの橋田和明氏に話を聞いた。

CMを通じてみんなの背中を押すには「しなきゃなんて、ない。」という言葉をみんなで分かち合う必要があるとの考えから、出演者のしゃべり方もわざと揃えないことでリアリティを引き出した。

4カ月の期間をかけて「ブランドパーパス」を策定

2017年4月に社名を変更したLIFULL。10月上旬より放映している企業広告にも注目が集まっている。

「LIFULLは不動産・住宅情報サイト"LIFULL HOMEʼS"を中核にしながら、引っ越しや介護、飲食に至るまで、グローバルな領域も含め、さまざまな事業を展開しています。そうした多事業化に加えて、社名変更に伴うリブランディングを実行したことで、当社が一体何の会社なのか伝わりにくいという課題感を抱えていました」と話すのはLIFULLの川嵜鋼平氏だ。

消費者からより深く理解され、かつブランド認知を醸成するべく、今回の企業広告を制作。制作に取りかかる前に行ったのがLIFULLというブランドの再定義だった。

「俗にいう、ブランドパーパスですね。ブランドパーパスの策定はLIFULLという企業が消費者の必要不可欠な存在となるためには避けて通れないもの。あらゆる企業活動のベースとなるため、その策定のため4カ月近いワークを重ねました」(川嵜氏)。

まだ手付かずの問題でも、視点を変える発想で豊かさに変わっていくはず。そしてあらゆる人が、当たり前に無限の可能性の中から自分の生きたいLIFEを実現できる社会へ。これが、同社のブランドパーパスだ。

ファクトをベースにした発信で企業のパーパスを表現

そうしたパーパスをCMのストーリーに落とし込んだのが今回のCMだ。CDを務めたHASHI クリエイティブディレクター、橋田和明氏は最初のオリエンの印象を次のように語る。「川嵜さんからまずいただいたのはPRセントリック(PRを主軸にする)にしたい、という方針でした。僕の理解で言うと、広告はフィクションですがPRはファクトをベースにしたもの。だからこそ、ブランドパーパスを体現している人たちのコンテンツをきちんとつくろう、という思いが最初のオリエンを聞いた時からありました」。

それを踏まえて橋田氏が最初に提示したコンセプトが、「THE MOST DIVERSE(最大限の多様性を)」だった。「川嵜さんが言われるブランドパーパスは、LIFULLが社名に込めた『あらゆるLIFEを、FULLに。』の意味を開いてみせたもの。パーパスを具体的な宣言として見せるため、ひとつのテーマや社会課題に絞るのではなく、ひとつの広告の中で最大限に、多様な視点を提供しようと考えました」。

CMに出演するのは車椅子のダンサーや盲目のカメラマン、LGBTのカップルなど、多様な人物だ。橋田氏は彼らのような"枠を踏み越えた人たち"にピントを合わせることで、同社が行う事業領域の幅広さと、多様なサービスがさまざまな人たちを応援していることを同時に表現してみせた。

「枠を踏み越えていった人たちも応援するけれど、川嵜さんからは枠の中に留まっている人たちの背中も押せるようなCMにしたいという要望をいただいていました。そこで大事にしたのが、境界線を踏み越えるか否かは本人の自由、というスタンスをとること。その点についてはコピーワークの中でも何度も話し合いを重ねました」。

CMで打ち出した「しなきゃ、なんてない。」を深堀りし、記事として発信しているオウンドメディア「LIFULL STORIES」。さまざまな既成概念の枠を浮き彫りにし、オウンドメディアを通じて自分の人生と向き合うきっかけを提供したい考えだ。

押し付けではない発信で共感の輪を広げたい

そこから生まれたのが「しなきゃ、なんてない。」というコピーだ。そこに込められたのは、するもしないもその人の自由、という思い。企業としての思いはありつつ、その思いを押し付けるのではなく、あらゆる人に寄り添う企業でありたいという考えが伝わることを目指し、たどり着いた表現だ。

「それはつまり、世の中のあらゆる既成概念を浮き彫りにし、その枠を超えた先に無限の可能性があるのではないかという思いです。しかし、境界線を飛び越える生き方、そうではない生き方、どちらもあって良い。LIFULLはそんなあらゆる人生を応援したい。そんなスタンスをCMの方向性としてうまく表現できたと思っています」。

押しつけがましいメッセージを排したことで、包み込むような雰囲気ながらも骨太な演出が生まれた。橋田氏は今回の演出方法について「みんなの背中を押してあげるには、『しなきゃ、なんてない。』という言葉をみんなで分かち合う必要があると思っていました。そこで、出演者のしゃべり方もわざと揃えないことでリアリティを引き出すことにしました」と語る。

従業員の士気も向上 インナー向けの効果も実感

放映後にはさまざまな反響があったと語る川嵜氏。「企業CMとは思えないとか、すごく勇気づけられたとか。社員も好感を抱いているようで、インナーブランディングという観点でも意味のあるCMになったと思います」。

橋田氏も「インパクトを狙い、壁を乗り越えた有名人が話すCMも多いのですが、それをあえてしなかったのがこのCMのすごいところ。見ている人が、もしかしたら自分もやれるかもしれない、と感じられるところにLIFULLの企業としての態度があるのだと思います」と語った。

メッセージをCMで伝えた後は、オウンドメディアを通じて更なる理解を深めたいと話す。「現在はCMに登場してもらった5名の方の『しなきゃ、なんてない。』という思いに至ったストーリーを記事にして公開しています。いずれも境界線を越えた生き方をしている人たちなので、彼らを通じて"しなきゃ、なんてないんだよ"ということを、より深く知ってもらえたらと考えています」。

今後はオウンドメディアを軸に、パーパスに共感してくれる人を増やすべく、発信を続けていく予定だ。

(写真左より)LIFULL 執行役員 Chief Creative Officer 川嵜鋼平氏、HASHI Creative Director 橋田和明氏。

    【スタッフリスト】

  • 企画制作:博報堂+HASHI+博報堂ケトル+ELNIDO+AOI Pro.
  • ECD:川嵜鋼平
  • CD:橋田和明
  • AD:木村乃介
  • 企画+C:桃井菜穂
  • CP:高野洋輔
  • PR:加藤久哉、水迫恵介、川口雅弘、吉川潤
  • PM:間地浩晃
  • 演出:牧鉄馬
  • 撮影:内田将二
  • 照明:米井章文
  • 美術:古本衛
  • 編集:阿部直子、清水六郎太
  • 音楽:山田勝也
  • ST:木村厚志、池田敬
  • HM:沓掛倫雄、高取篤史
  • CAS:藤津俊和
  • STP:中平充、横山貴星
  • AE:迎健二
  • 出演:長友佑都

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