アジャイルメディア・ネットワークは10月30日、東京・表参道の宣伝会議にて「ファンベース実践セミナー」を開催した。書籍「ファンベース」の著者・佐藤尚之氏と、ファンを重視するアプローチに取り組む企業が登壇。企業のメッセージが届きにくい現在、ファンとのつながりを生み出す施策を解説した。
ファンとリピーターは違う 価値観に共鳴する人を増やす
アジャイルメディア・ネットワークは、企業や商品ブランドのファンとともにマーケティング活動を行う「アンバサダープログラム」を開発、運営している。その見地から、ファンベース実践セミナーを開催した。
第1部では佐藤尚之氏が「ファンベース」をテーマに講演を行った。冒頭で、「ファン」とは、リピーターと同義ではなく、企業が大切にしている価値やブランドそのものを支持している人であると定義を示した。また「ファンベース」とは、ファンをベースにして中長期的に売上や価値を上げていく考え方だと説明。「相手のことを考えて意見を傾聴すると、自ずと相手の喜ぶことが見えてくる。事例やテクニックではなく、誠実に『ファンを見る』ことを前提に施策を考えてほしい」と述べた。
第2部ではアジャイルメディア・ネットワークの出口潤氏が登壇。「ファンベースを実践する上での『アンバサダープログラム』というアプローチ」というテーマで講演した。
「アンバサダー」とは、企業やブランドに自ら関わり自発的に発言をしてくれる人。インフルエンサーとの違いは、フォロワー数よりコミュニティ内の熱量が重視されている点だ。同氏は「ファンが思っていることを傾聴して得られた仮説やヒントを踏まえ、話題化するようなキャンペーンを仕掛ける。アンバサダーに推奨してもらうためには、どのような支援ができるか、どんなサービスをつくっていけるかを考えていく。このサイクルをベースにしている」と同社が提供するサービスについて説明した。
同社のアンバサダープログラムは、アンバサダーにコミュニケーションを取って自主的に口コミしてくれるように働きかけ、その口コミを広告やファンサイト、まとめサイトで活用してさらに情報を届けるというプロセスを経ている。同時に、アンバサダーの口コミの前後比較やリーチ、その口コミに対する第三者からの反応数などの効果検証も実施している。
「登録という形をとり、自らをアンバサダーだと認識させると使命感が出てくるので、自然と口コミが活性化する。実際にアンバサダーと、そうではないロイヤルユーザーとでは、第3者の購買に与える影響力が17倍違った」と波及効果について報告した。
続いて第3部では同社のプログラムの事例紹介として3社が登壇。NTTドコモの西川寧幸氏はユーザーだけでなく社員やスタッフを対象としたプログラム、キリンの加藤美侑氏は「プラズマ乳酸菌シリーズiMUSE(イミューズ)」のファンミーティングで本当のファンに会うための参加条件、カルビーの冨本奈津美氏は「堅あげポテト」のファンとの交流サイトが生まれたきっかけをそれぞれ紹介した。最後は出口氏と第3部の登壇者によるパネルディスカッションでセミナーを締めくくった。
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