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フランス消費トレンド

東欧自動車ブランドの広告宣伝 ―マイナスイメージを逆手に取る

山本 真郷氏/渡辺 寧氏

ファッションを中心とした新しいライフスタイルの発信源である、フランス・パリ。パリに駐在する日本人マーケターが街中で見つけた、新しいトレンドを紹介。トレンドをマーケティングと異文化理解の2つのフレームから読み解きます。

欧州ではトヨタよりも売れているチェコの自動車ブランド

Skoda(シュコダ)というチェコの自動車ブランドをご存知でしょうか。日本では馴染みが薄いですが、独VWグループ傘下で大衆車セグメントを担い、欧州ではコスパの良さで支持されています。欧州自動車工業会によれば、欧州市場(EU+EFTA)における2018年上半期の新車販売台数は同社が10位(387千台、前年同期比9.0%増)。日本勢トップのトヨタが11位(376千台、同6.4%増)ですので、少なくとも台数面ではSkodaが健闘していることが分かります。

同社は91年にVW傘下となって以降、品質・性能を格段に高め、販売台数も伸ばしていますが、西欧ではまだまだ旧東欧企業への偏見が根強く残るため、それを払拭する宣伝活動を積極的に行っています。

さりげなく偏見を払拭 話題になったティザー動画

今回、ご紹介するのは最近Skodaフランスが公開した新型SUV(2016年に投入された「Kodiaq」の新型モデル)のティザー動画のクリエイティブについてです。

動画のタイトルは「Ugly In The 90’s」(カッコ悪かった90年代)。1分尺の動画の前半50秒では、90年代のフランスの情景が映し出されます。当時、流行したダンスミュージックをBGMに、サイケデリックな服装にマレットヘアやカート・コバーン風の髪型をしたニキビ面の若者たちの様子が映し出された後、「90年代にカッコ悪かったのは私たち(Skoda)だけではなかった」とテロップが流れます。

テロップは「新作」という文言に切り替わり、黒ホリに新型Kodiaqのボディサイド、ヘッドライト、エンブレムなどの部位が先進的かつ高品位に映し出されます。最後に「現在のSkodaを発見しよう」というテロップが流れ、車体全貌が一瞬現れる構成です …

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