IoT対応と非IoT 2つのデータ取引市場を展開
「GAFA」と称される、米国発の巨大企業に多種多様なデータが集まり、彼らから次々と新たな戦略が打ち出れる昨今。この潮流に、日本はどう向き合っていくべきなのか。データは21世紀の石油であるとも言われる時代において、世界に向けて発する日本ならではの戦略が必要とされている。
こうした日本を取り巻く環境も鑑み、新たなビジネスを興そうとしているのがエブリセンスジャパンだ。同社はデータ取引のマーケットプレイスをつくり、かつ取引が安全に行われる仕組みと合わせて構築しようとしている。
「当社はデータ取引市場運営事業者として、データ提供者とデータ提供先を仲介し、データ対価の交換、決済機能を提供している。公平性を保つため、自らデータを収集・保持・加工・販売はしない」とエブリセンスジャパン 代表取締役最高技術責任者の眞野浩氏は、運営事業者としての立ち位置を示す。
現在、同社はIoTストリーミングデータ取引市場「EverySense」と企業向け蓄積型データ取引市場「EverySense Pro」というIoTと非IoT対応の2種類のプラットフォームを提供している。「EverySense」はすべての人(企業、個人)が必要な情報を、既存のIoTネットワークを変更することなく提供・収集することができるのに対し、「EverySense Pro」は、取引は企業間に限定されるものの、データの種類や利用目的は限定されないという特徴を持っている。
エブリセンスジャパンの創業は2014年5月。もともと技術者だった眞野氏はWi-Fiの原型をつくり、その技術を用いて、ビジネスを展開していたこともあった。その後、事業をバイアウト。しばらくは国から委託された仕事に携わったり、大学でベンチャー経営について教えたりしていたが、2014年に「もう一度ベンチャー企業を興したい」と起業を決意。
いま、世の中で解決すべき問題は何かと検討した結果、データに注目。会社を立ち上げるに至った。「すべてをセンシングしたい」という思いを込めて、社名が決まった。本社はアメリカ・カリフォルニア州のサンノゼ市に置いている。
不安と不満を取り除き不正防止の仕組みをつくる
データビジネスに参入して分かったことは、人々がデータ売買に対して「不安と不満」を感じていることだった。「自分のデータがどう使われるのか分からない。ここに不安が残っている」と語る眞野氏。そこで「EverySense」利用に関しては、徹底して「何に使うのか?どう使うのか?」など利用目的を開示してもらうことで、提供者の不安を取り除くようにしている …