広告マーケティングの専門メディア

           

デジタル時代におけるブランドビジネスのアップデート

広告・製品開発に生かす、顧客の声

吉屋智章氏(元ロクシタンジャポン)

価格や機能の差を超え、ブランド力が重要要素となるブランドビジネスの世界。その世界において、デジタルテクノロジーはどう活用できるのか。定量化しにくいブランド力をデジタルテクノロジーの活用によって現代に合わせたアップデートをしていく戦略を全6回で解説します。

ブランドであってもクリエイティブテストは必要

これまでの本連載では、主にロクシタンという会社がどのようにデータを活用できる体制に行き着いたかについて、お話しました。特に前回はCRMについて説明しましたが、デジタルを活用してビジネス全体を向上させていこうとする考え方は、CRMやオンラインといった分野だけに留まりません。

例えば、広告クリエイティブのクオリティ向上に関してもデジタルならではのアプローチを取り入れました。私が入社して間もない頃は、お客さまを相手に、テストをするなんて…という考えから、A/Bテストは特にオフラインの領域では全く認められてはいませんでした。それほどブランドが持っているクリエイティブという資産は、ブランドを形づくるコミュニケーションの柱であり、製品と並び、ブランドイメージを左右する最重要なものと位置付けられているからです。

そこで我々のチームは、少しずつオンラインでのA/Bテストの実績を積み上げ、特にフランスにある本社に対して、日本側のニュアンスを伝える際に具体的に数字を見せることを行っていました。

「何を明らかにしたいのか?」というテスト軸を明確にし、「そのテスト軸がクリアになるのはどの指標か?」を本社と握り、できるだけ同じタイミングでテストを走らせます。検定サンプル数が十分に確保されていれば、必ずしも50:50でのテストは必要ありませんが、結果を統計的な有意差で検証することを繰り返し行うことで、テストが当然である風土に変えていくことができました。

意外と日本が良いと主調していたクリエイティブが負けてしまったり、50%も新客コンバージョンに貢献する差がついたり、と恣意性を排除した積み上げに貢献することにつながりました …

あと68%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

お得なセットプランへの申込みはこちら

デジタル時代におけるブランドビジネスのアップデート の記事一覧

広告・製品開発に生かす、顧客の声(この記事です)
データを活用できる体制をつくるプロセス
データがブランドというビジネス資産を輝かせる
宣伝会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する