シナラシステムズジャパンは9月19日、東京・恵比寿で「位置情報がOtoOを可視化する。リアルな消費者の行動を捉えたプロモーションとPDCA改善セミナー」を開催した。米国本社からプロダクト開発メンバーが来日して登壇。位置情報データを活用したOtoO施策の事例や、広告配信におけるアドフラウド対策の取り組みが紹介された。

シナラシステムズジャパン 第一営業部 仲山隼人氏によるサービス活用事例説明の様子。
アドフラウド対策にもつながる通信キャリアのデータの強み
通信キャリアのデータを活用したマーケティングプラットフォームを提供する米国Cinarra Systems(シナラ・システムズ)。設立は2012年、2015年7月にソフトバンクを始めとする企業より約25億円の投資を受け、2016年6月から本格的にサービスを開始した。現在すでに同社のサービスは国内200社以上の企業に導入されている。
9月19日、シナラシステムズは米国・本社からプロダクト開発責任者が来日するのに合わせて、セミナーを開催。プロダクトリードのBill Leece氏、プロダクトチームのBobby Singh氏が、来場した日本のマーケターを前に、シナラシステムズが提供する位置情報を活用したマーケティングの最新事例を紹介した。
Bill Leece氏からは、オンラインとオフラインの垣根をなくし、「リアル」への効果を可視化するOtoOソリューション「REAL AUDIENCE MARKETING SUITE」の紹介があった。
続いて登壇した、日本法人の仲山隼人氏は「我々の強みは特殊なデータ処理の技術で通信キャリアのデータにアクセスできる点」と述べ、Bill Leece氏が説明したソリューションに含まれる4つのプロダクト、オンライン起点のサービス3点(①広告配信サービス、②広告起点の来店計測サービス、③Webサイト起点の来店計測サービス)と、オフライン起点のサービス1点(④店舗来店計測サービス)について、それぞれの活用事例を紹介した。
広告配信サービスでは、ゴールデンウィーク期間のプロモーションに位置情報を活用した旅行会社のケースが紹介された。「消費行動には周期性があると仮定し、過去にゴールデンウィーク期間中に旅行したユーザーを抽出し、広告を配信した。具体的には、位置情報と通信キャリアの居住地情報をもとに、旅行していたであろうユーザーを抽出した。これまで捕捉が難しかった、ユーザーのリアル行動が把握できる点に位置情報の強みがある。
当日は、パネルディスカッションも実施。登壇者にソフトバンクから小川毅氏を迎え、シナラシステムズジャパンの松塚展国氏、大野晧平氏の3名がジオマーケティングの可能性について話し合った。大野氏は今後ジオマーケティングに求めることとして「競合せず、皆でジオマーケティングをつくっていく時期ではないか」と回答。
それを受けて松塚氏は「ジオマーケティングはまだまだ黎明期。切磋琢磨しながらユーザーが安心できる利用における透明性を確立し、データを利用する企業にとっても安心できる環境をつくることで、マーケティングにおいて一般的に活用される手法に成長させていきたい」と述べた。
続いてシナラシステムズのBobby Singh氏が登壇。デジタルマーケティングの領域で今、日本でも関心が集まっているアドフラウドについてアメリカでの対策事例などを紹介した。同氏は「アドフラウドの被害は膨れ上がり、アメリカでは非常に大きな問題となっている。それにもかかわらず、未だにマーケターの理解は進んでいない」と現状について説明した。
さらに、シナラシステムズジャパンでは、アドフラウドに対しても通信キャリアのデータ(契約者情報、位置情報)を使うことで対策が可能との考えを示した。「広告からの来店数が計測できるプロダクトにタグを埋めると、どこで広告が配信されたのかというデータを紐付けることができる」と述べた。
Bobby Singh氏は「第1部でOtoO、第2部でアドフラウドという別の視点から話をしたが、共通しているのは、通信データのキャリアを使う位置情報データだからこそ、実現できる価値があるということ」と総括して、セミナーを終えた。
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