人々の心を揺さぶり、行動を喚起することを目的とする「広告」。まだ誰も見たことがない新しい表現を通じて、自社ブランドの魅力を強烈に訴求することを求められるインハウスクリエイターは、日々、どのような物事からインスピレーションを得ているのでしょうか。資生堂 クリエイティブ本部の小助川雅人氏が、「広告」の枠組みにとらわれず「気になった」ものを毎回セレクトし、クリエイティブワークに生かせそうなポイントを考察します。
娘の誕生日にディズニーランドに行くことになった。朝、5歳の娘は「初めてだからワクワクして眠れなかった」と目を輝かせた。事前にオンラインチケットも購入し、あとは入場の際にスマホを見せるだけである。が、入り口で重大な事実が発覚した。私が、スマホを忘れたことに気づいたのである。
改めてチケットを買い直すことまで考えたが、目の前にいたキャストの女性(明らかに若い)に事情を話すと、にこやかに対応してくれ、あっという間に紙にプリントされた入場チケットが手渡された。その間数分、まさに魔法と言っても過言ではない。正直、涙が出そうになったのはここだけの話。そのさりげなさ、迅速さ、これを「おもてなし」と言わずしてなんと言おう …
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