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刈り取りからLTVの最大化へ 変わる、DMに期待される役割

全日本DM大賞事務局

「第33回全日本DM大賞」の作品募集が開始しました(締切は2018年10月31日)。市場環境が変わり、新規顧客獲得が難しくなる中で、いまDMに期待される役割とは?全日本DM大賞最終審査委員を務める二人の対話を通じて考えます。

新規顧客の刈り取りからLTVの最大化へ

──過去にも全日本DM大賞の審査委員を務められた経験のあるお二人ですが、審査を通して、改めて昨今のDMはどのように変わってきたと感じましたか。

加藤:過去3回の審査を通じて、「新規顧客の刈り取り」を担うDMから「LTV(顧客生涯価値)の最大化」のためのDMへと、つくり手の意識が変わってきていると感じました。その背景には、ここ数年の市場環境の変化があると思います。私はダイレクトマーケティングの分野に特化して事業を展開していますが昨今、新規顧客の獲得単価(CPO)やコンバージョン1件あたりにかかった広告費用(CPA)が10年前と比べて2~3倍まで上がってきています。

厳しい価格競争が繰り広げられているネット広告市場とは対照的に、DMの位置づけとしてはDM単体で完結する"売り込み"の媒体ではなく、ブランドの理念や思想を伝えるブランディングツールや、リピート施策・クロスメディア施策の一部となるなど、幅広い役割で活用されてきているように感じます。

山口:前回の審査に携わって、「物語」を匂わせるDMが多いと感じました。例えば化粧品のDMなら、単なる商品ラインナップの紹介ではなく、さまざまなアイテムを併用して活用してもらうためのブランドの思想を伝えることにスペースを割いて工夫している。「詳しい商品情報はデジタルで紹介します」という割り切りも感じます。

他の媒体と比べて「DMならでは」の利点は、何よりも手元に"もの"が届いて、残ること。これだけネットが浸透しても、商品カタログのようなものは一覧性の面で紙に優位性があります。また、捨てられずに手元に残ると再閲覧の行動も引き起こす。紙はシニア向けというイメージがありますが、ある商材ではデジタル慣れしている10代でも、アナログな紙の"カタログ"や"会員証"をデジタル施策に加えて追加送付したらリピート率が高まった事例もあります。

加藤:通販やダイレクトマーケティングの本質は"売ること"ではなく、いかにお客さまと付き合っていくか、にあります。最初の申し込みは、あくまできっかけ。例えて言うと、結婚することがゴールではなく、その後しっかり家族サービスをして関係性を築いていくのが大事だということ。離れられないように、リピートしてもらうために、関係を築いていくことこそDMの役割であり本質だと思います。

山口:一般的に、既存顧客のロイヤルティを高めるためには、生活者が製品をどのように認識しているかという「知覚品質」が重要だと言われています。知覚品質を高めるためにもっとも効果的なのは、リアルに顧客と顔を突き合わせて説明する機会を持つこと。ですが、リアルな対面はコストがかかりすぎます。DMは、リアルな接触よりもコストを低く抑えつつ、うまく活用すればブランドの知覚品質を高める体験を提供できる媒体なのです。

目的によって使い分け クリエイティブの「二重人格」戦略

加藤:ネットの専門家としてあえて言うと、ネットでブランディングをするのは非常に難しいんですよね。もちろんつくり手側からすると、ネットはスピード感を持って物事を進められるという利点があるのですが、一方で生活者は、小冊子や季刊誌風の高級なもの、格式がある表現に対してロイヤルティを感じるので……。

山口:だからこそ、企業側も広告の使い方を二極化させてきていると感じます。例えばユニクロ。まるで『VOGUE』のような高級感のある紙質や写真のフリーペーパー冊子をつくり、店舗で配っています。冊子とテレビCMでブランドの知覚品質を高めた上で、アプリやメルマガでは週末限定の価格を大きく掲載した割引訴求などを行ってコンバージョンを高めている。販促とブランディングを混ぜず、同時期に並列で別の施策として投資することで、売上を伸ばすのがうまいですね。

加藤:実は、成長を続ける大規模な企業の多くは、テレビCMやDMを通じたブランディング施策に加えて、"ドーピング"的にデジタルなどでの刈り取り広告を組み合わせています。ブランディング広告に刈り取り広告を組み合わせることで、"倍増効果"を狙うことができる。注目すべきは、そうした企業の多くが、ブランディング広告と刈り取り広告のクリエイティブが"二重人格"であるということです。

テレビCMに代表されるブランディング広告のクリエイティブは"超上品"なのに、刈り取り広告は、"超コテコテ"のチラシのような見た目。まさにこの、クリエイティブの「二重人格」戦略で、効率アップを狙えると考えています。であれば、オウンドメディアのDMや会報誌は、ブランディングのための効率の良い媒体だと思いますね。

山口:私も加藤さんと同意見です。テレビCMにはリーチ力がありますが、購買行動を引き起こすためには「知覚品質」がカギ。知覚品質を上げるために、文章や写真などの情報量を多くし、接触時間を長くできるDMは、テレビCMとリアルな体験の間に位置する媒体だと思います。このようにDMの役割が変わってきている今、ひとつのDMにブランディングと販促施策を混ぜるのは失敗のもと。

例えば、会社からのお知らせはブランドルールに沿った綺麗なデザインとコピーのものにして、並行して、個別の営業担当やコールセンターからは手描き風で個人宛てのお知らせが来る。このように、同じ企業からのお知らせであっても「二重人格」で使い分けが必要だと感じています。

本当にクロスメディアが実現できているか?

──今年応募される作品に期待していることはありますか。

加藤:実は、うまくいっているクロスメディアの施策が少ないと感じています。DMの部署とデジタル関連の部署は、社内でも分断されていることが多いからなのでしょう。QRコードを使ってサイトに飛ばしたり、URLを載せたりという施策がいまだに多い。デジタルの部署とタイミングを合わせて連携した施策を行った場合は、どういう結果があったのか、オリエンシートに詳しく書いて欲しいなと思います。DM大賞の表彰式に、DMの部門の人とデジタル部門の人が一緒に登壇するようなケースが生まれてほしいですね。

山口:DMの役割が「LTVの最大化」にシフトしているという話がありましたが、それはつまり、DMが段階を追って顧客の態度を変化させられる媒体だということ。自社のユーザーのインサイトを知り尽くすことで、クリエイティブのひとつ、コピーのひとつが、ターゲットの態度変容を引き起こせるようになる。ぜひそのインサイトの深さと効果を見える化したDMを業界に共有してほしいと思います。

素敵なデザイン、素敵な世界観でも、インサイトを刺激できず販売に結びつかないものは山ほどある。「売れる」ための要件とは何か、何がユーザーの心を動かしたのかを可視化することで、DMの可能性も広がっていくのではないでしょうか。

売れるネット広告社
代表取締役社長 CEO
加藤公一レオ氏

インサイトフォース
代表取締役
山口義宏氏


全日本DM大賞作品募集中!(締切10月31日)

オフィシャルサイト(http://www.dm-award.jp)よりご応募ください。

    お問い合わせ

    全日本DM大賞事務局(株式会社宣伝会議内)
    TEL:03-3475-7668
    E-mail:info.dm-award.jp
    URL:http://www.dm-award.jp

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