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ロングセラーブランドのコミュニケーション戦略

「ツナ缶を日本の食文化に」多彩なメニューを提供して60年

はごろもフーズ シーチキン

(左)1958 (右)2018

今年で生誕60周年を迎える「シーチキン」がここまで愛されている理由。それは、ツナ缶を日本人の食文化にまで高めた功労者的な存在だからだ。「当社が創業した1931年には、日本ではツナ缶を食べる習慣はありませんでした」と話すのは、はごろもフーズ 経営企画室 広報担当の田中隆裕氏。当初は水揚げ時に余っていたビンナガマグロの有効活用のため、アメリカへの輸出用にと加工が始まった製品だった。

同社はツナ缶を食べる文化を日本に根づかせるため、「まぐろの油漬け缶詰(Tuna in oil)」という商品名を改め、日本人に親しみやすい名前をつけた。そうして生まれたのが、食感と見た目から名づけられた「シーチキン(海のにわとり)」だ。

シーチキンの転機はテレビCMによってもたらされた。「国内での発売当初、料理にどう使えば良いか分からなかったんですね。それが昭和40年代にメニュー訴求型のテレビCMを放映したところ、爆発的に普及したと聞いています」と田中氏。

今もメニュー提案に力を入れ続ける裏には、同社の企業理念がある。「テーブルコミュニケーション」と呼ばれるものがそれだ。

「料理がより簡単になれば、家族の団らんの時間が増えます。当社にはシーチキンの他にも野菜やくだものの缶詰がありますが、それらを活用してより手軽にいろいろな料理を楽しんでいただけるよう、新たな提案を続けています」。

シーチキンの今後を見据えて今、力を入れているのが缶詰売り場以外への進出だ。そのひとつの形として実を結んだのが「サラダシーチキン」。チルド棚への進出を果たしたが、常温保存も可能なため、登山やジョギングなど食べるシーンの幅はより広がっている。

多くの家庭で愛されるシーチキンの60年を支え続けてきたのは、おいしさと便利さへのたゆまぬ努力。より多くの人に、より豊かな食卓を届けたい。その思いがシーチキンの新たな60年を築いていく。

視点01 ブランド戦略
豊富なラインナップでユーザーから厚い支持を獲得

缶詰の商品名は当時、「まぐろ油漬」などの中身を説明するものが一般的だった。そこで日本人向けの商品名を検討。蒸したビンナガマグロの身が鶏肉のようで、味もささみ肉に似ていることから命名されたのが「海のにわとり」を意味する「シーチキン」だった …

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