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理念に対する共感がカギ 社員の元気をつくるコミュニケーション

暗黙のルールも納得できる コピーライターが考えたスゴイ新人研修

倉成英俊氏(電通)/キリーロバ・ナージャ氏(電通)

電通内に「アクティブラーニング こんなのどうだろう研究所」を発足し、企業や学校の教育プロジェクトにも関わる電通の倉成英俊氏とキリーロバ・ナージャ氏。コミュニケーションのプロが考えると、教育プログラムはどう変わるのだろうか。

世界一のコピーライターは雑務もピカイチ

「正論なのだろうけど、なんとなく腹落ちしないな…」。組織の中で働いていると、そんな上司や先輩の言動に遭遇する機会は多いのではないだろうか。そんな組織の中に浸透する暗黙のルールをロジカルに説明し、腹落ちさせてしまう。電通の中で伝説となっている研修がある。その名も「生意気と素直の間。あるいは、夢と雑用の関係性」。企画したのは、同社の倉成英俊氏とキリーロバ・ナージャ氏の2名だ。この研修は過去3年間実施されたことがある。

倉成氏がこの研修を企画したきっかけは、とあるプロジェクトでの出来事にある。「ある時、チームに入社3年目の社員を起用したんです。彼は広告賞の受賞歴もある期待の若手でした」。彼に仕事を指示してみたところ、いろいろとうまくいかなかった。先回りして動けない。それどころか、先輩のメールでの修正指示に返信を行ったのが24時間後など、何かと後手。「クリエーターだから企画力はもちろん大事。しかし同様に大切なのが、チームで仕事を回していくために必要な基本動作。彼はそのスキルが伸びていなかったんです」(倉成氏)。

指導方法を考える中で、ふと気づいたのが、近くにいたナージャ氏は当時、世界のコピーライターランキングで1位に輝くクリエーターでありながら、誰よりも雑務を迅速にこなしていることだった。

「電話を取るのは早いし、会議室の予約も言わなくとも勝手にしておいてくれる。一般的には雑務と言われることへの対応力がとても優れている。なぜ、そんなことができるのかを聞いたところ、入社後に配属されたマーケティング局で付いた先輩から、とても素晴らしい指導を受けていたことを知ったんです」(倉成氏)。

一見無用に見える雑務は気配り感覚の「筋トレ」だった

指導の中でも代表的なものが「仕事をする上での心得」だ。「私が配属になったその日に『一緒に仕事をするにあたって、常に心掛けてほしいこと』というタイトルの紙を渡され、説明を受けました」(ナージャ氏)。そこに書かれていたのは、新人としての10カ条。

「①とにかくメモる!」「②とにかく質問する!」「③自分の意見をはっきり持つ→発言する」「④周囲に気を配る」「⑤最初は筋トレから」「⑥困ったことが起きたら・悩んだらすぐに相談する」「⑦人前で泣かない」「⑧心身の健康が第一」といった教えの数々 …

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