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データを活用できる組織になる!

大切なのは実現力より課題設定力ー「AI人材」の虚構と現実

西内 啓氏

経営そしてマーケティングにおけるデータ活用の重要性が叫ばれるようになって以来、専門人材の採用、育成に力を入れる企業が増えています。しかしスキルを持った人材がいれば企業のデータ活用は進むのでしょうか。データ活用ができない組織には共通点があると指摘する、統計家の西内啓氏が、陥りやすい落とし穴をもとに実践的なデータ活用論を解説します。

(C)123RF

高給で採用したのになぜ活躍できない?

前回は企業の「データ分析人材不足」という問題に対して、エンジニア型のデータ分析人材と、コンサルタント型のデータ分析人材という適性を分けた上で、コンサルタント型のデータ分析人材の不足に対しては「卒論で調査設計やデータ分析を経験した社内人材の発掘」という対応策をあげました。

それでは、皆さんのお仕事の中で今、必要とされているのがエンジニア型だとした場合、どうすればよいのでしょうか?特に、最近は「これからの時代はAIだ!」と、何でもよいからとにかくAIで何かをやれ、というミッションが下っている人の話もしばしば伺います…。こういった事情から、中途でそうした経験を持っていそうな人材を採用しようと高額な給与を提示したり、あるいは大学で数学に関わる勉強をしていた学生のリクルーティングに励んだり、といったことを行っている会社も少なくないでしょう。

しかしながら、いざ仕事をさせてみると思ったようなアウトプットが出てこない…。そんな場面にしばしば遭遇します。なぜ、このような現象が起こるのでしょうか。

実はまったく違う!?「昔のAI」と「最近のAI」

まずひとつめの問題は、AIと一口に言っても、その考え方は単一ではなく、大まかに言えば「最近のAI」と、ちょっと前までの「昔のAI」の考え方は全くの別物だということがあります。よって出会った人材の、AIに関する研究や実務の経験が「昔のAI」についてのものだけであれば、皆さんが期待されるディープラーニングで画像や文章を処理するといった「最近のAI」らしい仕事については、ほとんどゼロから学ばなければなりません。このことについて、もう少し詳しく見てみましょう。

「昔のAI」とは、例えば人間が書いた文章に対してどのように文法構造を捉えればよいかとか、その中にどのような知識や論理が含まれているか、といったことをコンピューターに判断させるためのロジックを考えるアプローチを指します。そうして人間の知識をコンピューターに模倣させるわけです。

一方、ディープラーニングに代表される「最近のAI」は、統計的機械学習とも呼ばれますが、人間がロジックを考えるのではなく、「とにかく答えがセットになったデータを突っ込んで、一番正確な判定方法をコンピューターに計算させる」といったアプローチをします。

この違いを具体例で考えると、例えば同じように英語を日本語に翻訳するという場合に、「昔のAI」をつくるためには英語や日本語の文法構造や、それをロジックとして機械に教え込むような論理学の知識が必要となります …

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