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デジタル時代におけるブランドビジネスのアップデート

データがブランドというビジネス資産を輝かせる

吉屋智章氏(元ロクシタンジャポン)

価格や機能の差を超え、ブランド力が重要要素となるブランドビジネスの世界。その世界において、デジタルテクノロジーはどう活用できるのか。定量化しにくいブランド力をデジタルテクノロジーの活用によって現代に合わせたアップデートをしていく戦略を全6回で解説します。

デジタルに即した組織と考え方に進化する

はじめまして、今号から全6回、連載をさせていただく吉屋です。私は直近まで、ロクシタンジャポンでデジタルマーケティングを立ち上げ、その機能を定義してきました。まず、簡単にロクシタンジャポンと、その中で私が担当してきたデジタルマーケティング本部の役割を紹介させてください。

ロクシタンは南フランスのプロヴァンス地方に根差したライフスタイルを提案するビューティーブランドで、自然豊かなプロヴァンス地方ならではの植物原料の化粧品を中心に製品を展開しています。日本では直営店舗での販売の他、ホテル向けのアメニティを提供する法人向け事業の展開、さらに世界観を体感いただけるカフェなど、日本のお客さまの生活を豊かにするためのお手伝いをしています。

そのロクシタンで私は、会社全体がどうすればデジタルに即した組織や考え方に進化していけるか、ということに時間と労力を割いてきました。そこで得た学びや発想を今回、誌面という場を借りて皆さんと共有させていただこうと思います。

さて早速ですが、皆さんは「ブランドビジネスの資産」と聞いて、何を思い浮かべますか。真っ先に思い浮かぶものとして、製品があるでしょう。良く知られた製品や製品を体現するデザインはブランドを示す象徴として扱われます。ロクシタンで言うと、絵の具のチューブを模したパッケージのハンドクリームという製品が、ブランドの世界観や独自性を伝える非常にアイコニックな存在だと言えます。そういった素晴らしい製品たちは、ブランドという付加価値が付くことで、一般的な製品より高い価格で販売することができます。

ドラッグストアで、数百円で売っている保湿クリームが、数万円もする某・高級スキンケア製品と成分が同じだった…というネタがネット上で広がったことがありましたが、例え成分が同じであったとしても、強いブランドイメージがあれば単価自体を上げることができます。

強いブランドは嗜好性が高く、一度気に入っていただけばリピート購入につながります。またひとつでも気に入った製品があれば、他のラインナップにも手を伸ばしていただく可能性が生まれます。

独自の店舗販売形態がブランドの資産

ロクシタンというビジネスが持っているブランド資産としては、これら製品に加えて店舗での販売形態を挙げることができると考えています。少し意外に感じられるかもしれませんが、これもブランドを発展させてきたビジネスとしての特殊性を体現している特徴です …

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