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フランス消費トレンド

異文化コミュニケーションのツボ その国の「サービスレベルの質」を捉えよう

山本真郷、渡辺寧​

ファッションを中心とした新しいライフスタイルの発信源である、フランス・パリ。パリに駐在する日本人マーケターが街中で見つけた、新しいトレンドを紹介。トレンドをマーケティングと異文化理解の2つのフレームから読み解きます。

働く人の権利が第一のフランス サービスの質の低さに困惑

渡仏して1年が経ちました。当初の戸惑いや苦労も今は懐かしく思えますが、今回はこの1年で特に振り回された「サービスレベルの質」にまつわるレポートです。

まず、生活の立ち上げで散々な目に合いました。某大手家具店には何度も配送をすっぽかされ、家具や照明ひとつない部屋の床に座って日が暮れるまで待ち続けたこと。トイレが水漏れした際には修理が一向に進まず、3カ月間湿っぽい臭いの中での生活を強いられるなど、日本では考えられないことが立て続けに起きました。

サービス業の納期意識は、過去に暮らした欧米アジア諸国に比べて明らかに低いですが、働く人の権利が第一に守られるこの国ではサービス業に過度な期待は寄せられておらず、フランス人は「よくあることだ」と言います。

仕事とプライベートをしっかり分けるフランス人

職場では、現地スタッフが朝緩く出社し、コーヒーブレイクや昼食に長時間を割き、定時にはさっさと退社します。生活面で起きた問題もあり、はじめのうちは、彼らとの仕事でも理不尽な事態もあり得るだろうと想定していました。しかし、いざ一緒に仕事をしてみると(個人差はありますが)納期意識もアウトプットの質も高く、コーヒーブレイクや昼食での時間が仕事上の議論と人間関係を育む場になっていたことを知りました。

日本では本音の議論や関係づくりは就業時間後の「飲み会」に委ねられることが多いですが、フランスでは就業時間内に完結します。このことは、終了時間=時間の終点に対する意識の差を示しており、フランス人の目には「日本人は会議を時間厳守で始め、仕事も正確だが、タイムマネジメントができない」と映ります。このように時間の認識は文化によって異なるため、多文化でプロジェクトを進める際は注意が必要です …

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