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クリエイティブの「種」、のようなもの

「ジェンダー」の問題に、クリエイティブができること。

小助川雅人氏(資生堂)

人々の心を揺さぶり、行動を喚起することを目的とする「広告」。まだ誰も見たことがない新しい表現を通じて、自社ブランドの魅力を強烈に訴求することを求められるインハウスクリエイターは、日々、どのような物事からインスピレーションを得ているのでしょうか。資生堂 クリエイティブ本部の小助川雅人氏が、「広告」の枠組みにとらわれず「気になった」ものを毎回セレクトし、クリエイティブワークに生かせそうなポイントを考察します。

「ゲータレード」のムービー『Sisters in Sweat』。

ニュージーランドでは現職の首相が妊娠、出産し、6週間の産休を終えて職場復帰した。かたや日本の大学の医学部では女性の受験者に対し、合格者を制限していたという事実が発覚。

言うまでもなく「ジェンダー平等(gender-equality)」の問題は、ここ数年における社会的に重要なトピックである。また広告における「女性のエンパワーメント」も大きな潮流のひとつと言えるだろう。数年前には、フェミニズムとアドバタイジングを掛け合わせた「femvertising」という言葉も登場した。

2018年のカンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル(以下、カンヌライオンズ)では審査員の50パーセントが女性となった。カンヌ改革の一環であり、「gender-equality」の象徴的な出来事とも言える。カンヌライオンズの事務局がこの選択をしたのは、世論という外圧によるものではない。審査における男女の平等性が担保されなければ、審査そのものへの疑念が生まれる。世界最高峰のアワードとして信頼性を保つための積極的な生き残りの戦略である。

スポーツドリンクの「ゲータレード」はセリーナ・ウィリアムズを起用したムービー『Sisters in Sweat』のなかで、生まれたばかりの自分の子どもに、女性がスポーツを続けること、そこから学ぶことが長い人生にとってどれほど大切なことかを静かに語りかける。映像には若い時にスポーツに熱中したことのある、社会的に成功を成し遂げた女性たちもインフルエンサーとしてインサートされている。

この広告には商品は登場せず、ロゴだけ最後に現れる。この広告が生まれた理由として、14歳の時点で、女性は男性よりも1.5倍もスポーツをやめてしまう率が高いという背景があった。「女性のエンパワーメント」をテーマとした、メッセージが主役の広告である。

生理用品メーカーのLibressは「#bloodnormal」というキャンペーンで2018年のカンヌライオンズのグラスライオンでグランプリを獲得した。現在、広告においては生理の血をリアルに見せることには規制がかかっている …

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