マーケティング活用に特化 手のひらサイズのロボット
手のひらサイズのロボットZUUKU(ズック)。顧客分析カメラを内蔵したフクロウ型ロボットは、企業のマーケティング活動支援という目的に特化して開発された。小売店頭などに設置しておくだけで、人を検知して対話をしたり、画像解析で相手の年齢性別を判断。その人に適した商品を勧めることができる他、画像解析や対話で取得したデータを可視化するので、販売促進の施策や新商品の開発などマーケティング活動に利用されている。開発したのはハタプロだ。
ハタプロの創業は2010年。当初はIT事業の会社としてスタートした。その後ハードウェアを手掛けるようになり、特にIoTのハードウェア開発に強みを持っている。2014年にはハードウェアに定評がある台湾に拠点をつくり、台湾政府の経済部(日本における経済産業省に相当)直轄の工業技術研究院と提携した。
「これがIoTの製品開発の事業につながった。当時はソフトウェアとハードウェアを一貫して開発できる会社はベンチャーの規模では限られており、製品を絡めた新規事業を模索する大企業からも共同開発のパートナーとして選ばれるようになった」とハタプロ 代表取締役の伊澤諒太氏は語る。2016年からはNTTドコモと提携し、IoT開発に特化したジョイントベンチャーもスタートさせている。
設置場所を選ばない小型ロボットに活路
同社がロボット事業を手掛け始めたのは2017年。「これまでは技術力を評価されて、多くの会社からの受託製造を手掛けてきたが、自分たちは裏方で関わっていることが多かった。昨年ぐらいから、自社ブランドの製品も出していこうと方針を転換。複数、手掛けた自社ブランドのひとつがこのZUKKUだった」(伊澤氏)という。人手不足やインバウンド対策の課題を抱えるクライアントから、ロボットを活用したいが、ちょうどよいサイズのものがないという相談を受けたことが、小型ロボットの開発につながった。
試行錯誤を繰り返すうち、最近のロボットは通信につなげてデータ分析ができ、なおかつディスプレイに表示する動画や対話の内容を対象者別に変えることもできるので、ロボットは「新しいメディアである」という気づきがあり、マーケティング支援に軸足を置くロボット開発を決断したという …