世界最大級の広告賞「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」が6月、開催された。開催期間が5日に短縮され、部門が9つに再編されるなどの変化があった今年。国別受賞数は最多順に米国、英国、ブラジルで、日本は21点だった。ここではデジタル領域を中心に注目部門のグランプリ作品を紹介する。
01 ソーシャル&インフルエンサー部門:Wieden+Kennedy London
ロンドンっ子たちの心をつかんだナイキの戦略
NIKE 「Nothing Beats a Londoner」
「ソーシャルメディアがいかにクリエイティブに影響を与えているかを示している」。英国アドエイジ誌は、再編によるソーシャル&インフルエンサー部門の新設をこう説明した。審査員長を務めたFacebookバイスプレジデント兼チーフクリエイティブオフィサーのマーク・ダーシーは、その選考過程について同誌に「自分たちがしたいことを伝えたブランド」ではなく「アクションを起こしたブランド」に注目したと語っている。
第1号グランプリを獲得したのは、Wieden+Kennedyが仕掛けたナイキの動画キャンペーン。若者の間でブランド・ポジショニングを再構築するため、ソーシャルメディアを活用しエンゲージメントを高めた事例だ。
他のブランドがセレブをキャンペーンの主役にする中、ナイキはロンドンに暮らす普通の若者たちを中心に据えた。広がる格差、成功することへのプレッシャー。スポーツ向きとは言えない気候や厳格な両親。こうした環境に抗いながらスポーツに打ち込む若者が秘める、アスリート精神にスポットライトを当てている …
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